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『ガンダム』にも影響? 美形敵キャラを輩出した『ボルテスV』と「長浜ロマンロボ」

TVアニメ『超電磁マシーン ボルテスV』は、フィリピンなど海外でも放映され、大人気を博しました。1年にわたる大河ドラマを盛り上げたのは、長浜忠夫監督の情熱たっぷりな演出と美形キャラの存在です。『機動戦士ガンダム』の富野由悠季監督にも影響を与えるなど、長浜監督がアニメ界に残した功績は多大なものがあります。

長浜忠夫監督の代表作『ボルテスV』

『超電磁マシーン ボルテスV』DVD1巻(東映)
『超電磁マシーン ボルテスV』DVD1巻(東映)

「たとえ あらしがふこうとも たとえ 大波あれるとも」

 アニソン界の女王・堀江美都子さんが歌った、『超電磁マシーン ボルテスV』の主題歌「ボルテスVの歌」です。1977年~78年にテレビ朝日系で放映されたロボットアニメ『ボルテスV』は、フィリピンでも大人気に。「ボルテスVの歌」はフィリピンでは「第二の国歌」と呼ばれるほど親しまれています。

 2023年内には、フィリピンで実写ドラマ『Voltes V Legacy』がTV放映されることが決まっています。ネット上で公開された予告編には、CGによるボルテスVの勇姿も映し出されています。なかなかのかっこよさです。日本で視聴できる機会が楽しみです。

 フィリピンでは1978年に放映され、あまりの『ボルテスV』の人気ぶりに、当時のマルコス大統領は途中打ち切りを命じたそうです。フィリピン人も大熱狂させた、『ボルテスV』の生みの親、長浜忠夫監督のロマンあふれる演出を振り返ります。

アニメ界に取り入れられた「劇画的演出」

 舞台や人形劇の経験があった長浜監督は、野球マンガ『巨人の星』のTVアニメ化の演出を手がけ、一躍アニメ界で注目を集めました。星飛雄馬が魔球を投げるたびに、グラウンドは風雲たなびく異界へと変貌。ライバルたちとの対決シーンには、なぜか龍と虎も登場します。過剰なまでに熱い劇画的演出を、アニメ作品に取り入れたのが長浜監督でした。

 ダイナミックな長浜監督の演出ぶりは、1970年代に大ブームとなった巨大ロボットアニメにもぴったりでした。テレビ朝日系で放映された、1976年の『超電磁ロボ コン・バトラーV』、1977年の『ボルテスV』、1978年の『闘将ダイモス』は、「長浜ロマンロボ」三部作と呼ばれ、ファンから愛されています。

 合体ロボを操る主人公の少年少女たちだけでなく、地球を狙う敵勢力の視点も交え、さまざまな人びとの愛憎が渦巻く群像劇として、「長浜ロマンロボ」は親しまれました。とりわけシリーズ第2弾『ボルテスV』は、主人公兄弟と生き別れになった父親との物語が縦軸となっており、大河ドラマとしての見応えがありました。熱い人間ドラマが、家族のつながりを大切にするフィリピン人の心を揺さぶったようです。

 地球を狙うボアザン星では、王室や貴族たちによる圧政に民衆は苦しんでいましたが、ボルテスVと一緒にボアザン星の民衆も蜂起することになります。植民地時代が長く、マルコス大統領による独裁政治が20年にもわたったフィリピンでは、ボルテスVは革命運動の象徴にもなったのでした。堀江美都子さんが1999年にフィリピンを訪問した際は、国賓級の待遇で出迎えられたそうです。

【画像】恋愛あり、ドラマあり…思い出に残る「長浜ロマンロボ」作品たち(7枚)

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