アニメの「SF考証」って何する人? 『ガンダム』にミノフスキー粒子という設定を与えた功績
ミノフスキー粒子はなぜ生まれた?

●なぜ宇宙で斬り合いや目視の戦いが必要なのか
スタジオぬえの一員で『ガンダム』の脚本家でもあった松崎健一さんが提案した「ミノフスキー粒子」の存在。『ガンダム』世界にばらまかれている架空の粒子です。このせいで精密なレーダーの使用などが不可能になったとされます。名前は「(と)ミノ“フ”スキー」。ファンの間では有名な逸話です。
●『0083』のコロニー落としの方法
回転したままふたつ並べて移動させている途中のコロニー(宇宙空間で人が暮らしている人工の島)の片方の太陽光取り入れ用のミラーを一本折ると、重心がずれ回転軸もずれるのでぶつかり合う。これを利用してコロニー落としを慣行。当時はすでに社会人になられていた元大学生のアイデアです。この行程は『0083』で是非ご確認ください。
なお、アニメ番組のクレジット表記には「SF設定」というものと「SF考証」という二種類があるようですが、このふたつには、はっきりとした区分があるわけではないようです。私が所属していたころのサンライズは、大ざっぱに「設定は描いた(書いた)もの」「考証は考えた内容」という区別で用語を使っていました。ただ、それが正しかったかは定かではありません。
【著者プロフィール】
風間洋(河原よしえ)
1975年よりアニメ制作会社サンライズ(現・バンダイナムコフィルムワークス)の『勇者ライディーン』(東北新社)制作スタジオに学生バイトで所属。卒業後、正規スタッフとして『無敵超人ザンボット3』等の設定助手、『最強ロボ ダイオージャ』『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』『巨神ゴーグ』等の文芸設定制作、『重戦機エルガイム』では「河原よしえ」名で脚本参加。『機甲戦記ドラグナー』『魔神英雄伝ワタル』『鎧伝 サムライトルーパー』等々の企画開発等に携わる。1989年より著述家として独立。同社作品のノベライズ、オリジナル小説、脚本、ムック関係やコラム等も手掛けている。
(風間洋(河原よしえ))