『うる星やつら』の奇作「そして誰もいなくなったっちゃ!?」 オチが「弱い」理由は?
最後に明かされたオチがつまらない!?

場面はガラリと変わり、病院に。あたるは入院しているようです。医師の前に、島で殺されたはずの面々が勢ぞろいしていました。そして、サスペンスドラマのようにタネ明かしが始まります。
・一連の偽装殺人は、あたるの浮気癖を直す目的で行った一種のショック療法だった。
・ラムが死ぬと刺激が強いので頭数に入れていなかったが、途中で計画を説明するとラムも賛同した。
・塔にいたもうひとりのあたるは、背格好が似ていた面堂の変装だった。
医師はいぶかしげな顔をしながら、あたるの病室へ案内します。果たしてこの計画は成功したのか? あたるは大丈夫なのか? あたるの病室の扉を開けると、そこには看護師さんを追い回してはしゃぐ、いつものあたるがいました。その光景に、各々が複雑な表情を浮かべます。
ラム「ダーリン!」、冷や汗を流すあたるの顔……END。
アガサ・クリスティの小説『そして誰もいなくなった』をオマージュしたタイトルに、マザー・グースの曲になぞらえた殺人事件という内容が描かれたのが、第98話「そして誰もいなくなったっちゃ!?」です。これは、のちに奇才とも呼ばれる押井守監督(脚本:伊藤和典氏)による、アニメオリジナル作品でした。この頃から、『うる星やつら』は攻めに攻めたオリジナルが増えていきます。
放送後、「ラムを殺すな!」「斬新な演出だった」など賛否の反響が飛び交うなかで、「あたるへの荒療治だったというオチがつまらない」という意見も多かったそうです。確かに筆者も、最後は「なーんだ」くらいにしか思いません。
このオチについて少し考察します。制作スタッフは、おそらく病院のシーンから先は、形を付けて終わらせた程度で、ひねったオチなど必要ないと考えていたのでしょう。「あたるの浮気癖を直すため」という理由も、強引ですよね。
この話のメインはミステリー劇で、「『うる星やつら』のキャストで舞台演劇を見せた」という感覚ではないでしょうか。ただし、放送は来週も続くので、キャストが死んだまま終わらせるわけにはいきません。そのために一応、番組らしいオチをつけて成立させたのでしょう。
40年経った今でも語り継がれる、「そして誰もいなくなったっちゃ!?」を振り返りました。アニメにおいて原作を無視したオリジナル作は賛否あるかもしれませんが、この回は「アニメは変幻自在に人を楽しませることができる」という挑戦だったように思います。
(石原久稔)




