秋アニメ人気キャラの「ヘアスタイル」は再現可能? 現役美容師が語る意外なポイント
キュアドリーム、アーニャ、キタサンブラックのヘアスタイルは再現可能!?
●工作力も必要!? キュアドリーム『キボウノチカラ オトナプリキュア‘23』

――続いて、『オトナプリキュア』のキュアドリームの髪型を再現するにはどうしたらいいでしょう。
Tanie「これは、毛量が問題で、地毛で再現するのは、到底無理なヘアスタイルですねー。長さも腰まである超ロングですし、ウイッグで作るのが現実的だと思いますよ。」
――それでも地毛でやりたい場合は?
Tanieさん「そうですね。アニメキャラになりきるポイントは、まずは髪色と言えます。髪色が近ければ、それだけで雰囲気はかなり出ます。キュアドリームの場合は、このピンクに染めるのが第1関門です。明るい色に染めるなら、何度もブリーチしてからになります。」
――髪の毛が痛みそうですね……。
Tanie「ブリーチの回数が増えると、髪の毛はどうしても痛みます。でも、このキュアドリームみたいなマゼンタピンクだったら、1回のブリーチでいけるかもしれませんね。その人の髪質にもよるので、絶対に1回で大丈夫とは言い切れませんが。」
――キュアドリームのヘアスタイルはどう作るのでしょう? かなり独特な髪型ですよね。
Tanie「キュアドリームの場合は、ハーフアップにして、上げた髪の毛をふたつに分けて、それぞれを輪にしてとめます。でも、この輪の部分を普通に髪の毛で作ろうとすると、どんなにスプレーなどで固めても限界があり、どうしても時間とともに『ヘタって』きてしまいます。そこで、『秘密アイテム』の登場です。」
――秘密アイテム!?
Tanie「秘密といっても、コスプレする人の間では、ごく普通に使われている技で、発泡スチロールや針金、アルミホイルで輪の『芯』を作るんです。そこに髪の毛を巻き付けるようにすれば形も自由に作れるし、型崩れもありません。発泡スチロールなら、ピンで髪の毛にもとめられますから便利ですよ。」
――工作の力も必要なのですね。ほかに再現する時に気を付けることは?
Tanie「顔の横の『姫様カット』も忘れてはいけないポイントです。ただの『おくれ毛』じゃありません。姫様カットとして、ちゃんとあるのとないのでは、かわいさが全然違います。最重要ポイントですよ。」
●「ベビーピンク」をキレイに出すのが勝負!? アーニャ『SPY×FAMILY』
――今期も安定のかわいさを見せてくれた、『SPY×FAMILY』のアーニャのヘアスタイルはどうでしょう?
Tanie「アーニャのヘアスタイルは簡単そうに見えますが、再現しようとなると、実はなかなかやっかいなんです。まず、この『ベビーピンク』の髪色が難関でしょ。これは、3回くらいブリーチしないと、色がちゃんと入りません。しっかりピンクにならないと、アーニャらしくもないし、可愛いさも半減してしまいますよね。」
――髪色のハードルは高いけれど、髪型の方はマネしやすそうな気がしますが……?
Tanie「ヘアスタイルで言うと、ボブで顔回りにレイヤーを入れているということになります。下にボリュームがあるから、重めのボブです。前髪は『すく』というよりは、ジグザグのカットです。毛量さえあれば、再現できるかもしれません。」
――髪色以外では、どこがポイントですか?
Tanie「アーニャのポイントは、頭の先の触角じゃないですか? この触角は地毛でも簡単にできますよ。ゴムでくくってあげればいいんです。くくった髪の先が割れないように、スプレーで固めてピョコッと立たせれば出来上がり。柔道の谷亮子さんは前髪をくくって立てていたけれど、アーニャは、それを頭頂部にちょこんと立てればいいと思いますよ。」
――それなら簡単にできそうですね。
Tanie「染めることを考えると、アニメキャラの再現をするなら、金髪のウイッグを用意しておくといいでしょうね。金髪ならベビーピンクにも染めやすいし、ウイッグなら自分でカットやセットもしやすいので、再現度を上げたい方にはおすすめのアイテムですよ。」
●割り切りも必要! キタサンブラック『ウマ娘』
――『ウマ娘』のキタサンブラックの躍動感あふれるヘアスタイルを再現するには、どうしたらいいですか?
Tanie「基本はおかっぱで、毛先をアイロンでカールつけて遊ばせて、最後に固めればいいと思います。前髪は思いっきりギザギザにカットして、束感を出して動きを付けてから固めるんです。白い毛の部分はエクステほど付けなくてもいいので、1束だけ付け毛を付けると、もうかなり近づくでしょ。でも、キタサンブラックの場合も、やはり毛量は必要です。前髪の重さもイマドキ風ですね。」
――耳は?
Tanie「キュアドリームの輪っかは、発泡スチロールや針金、アルミホイルで作った芯に髪の毛を巻きつけますが、このキタサンブラックの耳は髪の毛を巻きつけちゃうと、モッタリするから、『作ったものをくっつける』と、割り切ったほうがいいと思いますよ。この子は黒髪だから黒に塗って、ピンでくっつける方が、髪の毛を固めて無理やり作ろうとするより楽ですし、見映えもいいはずです。」
――キタサンブラックは「触角」もありますね。
Tanie「キタサンブラックの触角はアーニャよりも長いので、根本をゴムでくくっただけではピンと立ち上がらないでしょうね。くくった毛束のなかに、針金や発泡スチロールで作った芯を仕込んで、根本をピンでしっかり止めれば立ち上がりがキープできます。あるいは触角と耳を発泡スチロールで作って、黒いカチューシャに接着して使うのはどうです? そこまで行くと完璧に工作ですが、細かいところにこだわってこそ、再現度アップにつながると思うんですよね。」
2023年秋アニメのキャラクターたちにも、脈々と受け継がれている「姫様カット」の美があること、再現度をアップさせるポイントが触角など、細部へのこだわりにあることが分かりました。ぜひ、参考にしてみてください。
(山田晃子)