マグミクス | manga * anime * game

問題作『ルパン三世 GREEN VS RED』が追求した、「真のルパン像」とは

『カリオストロの城』での“成長”から世代を超えた“継承”へ

宮崎駿監督が手掛けた、『ルパン三世 カリオストロの城』DVD(ウォルト・ディズニー・ジャパン)
宮崎駿監督が手掛けた、『ルパン三世 カリオストロの城』DVD(ウォルト・ディズニー・ジャパン)

『GREEN VS RED』のプロデューサーは、1996年のTVスペシャル『ルパン三世 トワイライトジェミニの秘密』からTVアニメ最新作『ルパン三世 PART5』まで、数多くのシリーズ作を手がける浄園祐氏。監督は2002年のTVスペシャル『ルパン三世 EPISODE:0』で監督デビューを果たした宮繁之氏です。

 ルパンに縁の深いふたりだけに、随所に過去作、特に『ルパン三世 カリオストロの城』へのオマージュが盛り込まれた、非常に情報量の多い作品です。また「ルパンとは何者か?」という自己言及的なテーマや、あえて交錯させた時間軸を構成、すべての謎や疑問を明らかしないストーリー展開などもあって、同作には「よくわからない」「結局何がやりたかったのか」といった否定的な意見も多くみられます。

 確かに、TV第2シリーズ以降に多く描かれてきた、明快な1話完結の冒険活劇としての「ルパン三世」を望んでいた人にとって、この作品は合わなかったかもしれません。

「ルパン三世」シリーズ作のほとんどは、前の作品・話での体験や事象が次の作品・話にあまり影響しない“レギュラードラマ”のスタイルを取っていましたが、宮崎駿監督がテレビ第1シリーズの“その後のルパン”として描いた『カリオストロの城』は、前の作品の体験を受けてキャラクターが成長する“ストーリードラマ”として作られ、シリーズを通じて異色な存在となっていました。

 しかし、この『GREEN VS RED』は、それまで制作されていたシリーズのルパン像を引き受けたうえで「ルパンとは何者なのか」に言及し、同時に「ルパンになるにはどうすればいいのか」と若者が悩み足掻いて“成長”する姿を描くという、シリーズ全体においても、作品単体の物語としても“ストーリードラマ”の要素が組み込まれた作品なのです。こうした二重構造が、作品を難解に感じさせる原因になっているのかもしれません。

 それでも筆者にとって印象的だったのは、作中である人物がヤスオをルパン三世になるように導いている点です。宮崎駿監督は『カリオストロの城』で“成長”を『ルパン三世』に持ち込みましたが、宮繁之監督と浄園祐プロデューサーは、宮崎駿監督による一世代の“成長”を踏まえたうえで、世代を超えて多種多様に分化していく“継承”を『ルパン三世』持ち込みたかったのではないでしょうか。

【画像】『GREEN VS RED』から大きく広がった? 多彩な「ルパン像」(6枚)

画像ギャラリー

1 2 3