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「ガンダム」主人公のちょっとクセが強めな父親たち 理想の父ちゃんには程遠い…?

人格形成において、親(あるいは親代わりの人物)の存在は大きく影響するものです。「ガンダム」シリーズの主人公たちには、問題のある親を持つものも少なくありません。そうした話題のなかでよく挙げられる3人の父親を見ていきます。

父親として息子を愛していたが…

アムロも「ガンダム」も、いずれもテムが作りあげたもの、ではある。画像は富野由悠季監督による小説版、角川スニーカー文庫『機動戦士ガンダム II』書影
アムロも「ガンダム」も、いずれもテムが作りあげたもの、ではある。画像は富野由悠季監督による小説版、角川スニーカー文庫『機動戦士ガンダム II』書影

「機動戦士ガンダム」シリーズでは、しばしば主人公の父親が物語に大きな影響を与える形で登場します。彼らは物語の中でどのような行動を取り、そして最期を迎えたのでしょうか。いわゆる「宇宙世紀」シリーズから3人の父親の辿った歩みを見ていきましょう。

●テム・レイ 『機動戦士ガンダム』

 シリーズ第1作『機動戦士ガンダム』に登場した「テム・レイ」は、地球連邦軍の技術士官で、「ガンダム」「ガンキャノン」「ガンタンク」の開発において中核を担った人物です。モビルスーツ(MS)の開発に熱中しており、息子である「アムロ・レイ」の事は放置気味でしたが、アムロもメカいじりを始めると食事も忘れて熱中してしまうタイプなので、非常に似ている親子といえるでしょう。

 テムは、机の上にアムロの写真を置いていたり、アムロと同年代の少年兵の存在を気にしたり、戦闘中に再会したアムロに避難を強く促したりと、父親として息子への愛情はしっかり持っていました。ただし妻である「カマリア・レイ」との関係は希薄であり、別居する際にも特に引き留めた様子は無かったようです。

 アニメ第1話にて、スペースコロニー「サイド7」が、ジオン公国軍のMS「ザクII」の襲撃を受けた際には、「ガンダム」を「ホワイトベース」に戻して戦闘準備を整えるために「避難民より『ガンダム』が先だ」と、非情にも思える言葉を放っていますが、反撃しなければ「ガンダム」も避難民も一方的に蹂躙されてしまうため、これは致し方ないともいえるでしょう。

 なんとか「ガンダム」を搬送しようと奮闘していたテムは、アムロが撃破した「ザクII」の爆発により損傷したコロニー外壁の穴から宇宙に放り出され、生死不明となってしまいます。

 その後は運よく救助されたようで、物語も終盤に差しかかった第33話「コンスコン強襲」にて、サイド7からは遠く離れた別のスペースコロニー「サイド6」で暮らしているところをアムロに発見されます。ただ、漂流中に酸素欠乏症で脳に障害を抱えたのか(とアムロは推測)、奇跡的な出会いにも関わらずほとんど感情を動かした様子が見られない、異様な対応を取っていました。技術者としての能力も大幅に減退した様子で、時代遅れの(とアムロが評する)パーツを「ガンダム」に取り付けるよう、嬉々とした様子でアムロに手渡しています。

 続く第34話「宿命の出会い」では、アムロにパーツは効果があったはずだと詰め寄り、アムロがそれに話を合わせると大喜びをし、その後はまるでアムロの相手をせず机に向き直っていました。すでに技術者としての本能が辛うじて残っていただけだったのでしょう。その後、TV中継を通して熱狂しながら「ガンダム」の活躍を見届ける、というシーンで、TVアニメ版での出番は終了となりました。

 なお劇場版では、TVアニメ版同様に「ガンダム」の活躍を見届け、喜びを爆発させているさなか、足を滑らせて階段から落ちて動かなくなる、という描写がなされました。劇中でその生死については触れられていません。のちに富野由悠季監督が執筆した小説『密会~アムロとララァ』(角川スニーカー文庫)では、死亡したことが明かされています。

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