「仮面ライダー4号」誕生から半世紀 「ライダーマン」の死が必要だった悲しいワケ
ヒーローになるために必要な条件とは?

結城を演じた山口豪久(当時は山口暁)さんは、『V3』企画時に平山さんの自宅へ押し掛けて主役に抜擢するようアピールしたことがあります。このことは平山さんのなかで強く印象に残っており、それもあってライダーマン誕生の時に打診した、という経緯がありました。
平山さんはライダーマンというキャラクターに強い思い入れがあったようで、『V3』第48話「見た! デストロン首領の顔!!」では「海堂肇」名義で脚本を書いています。
この第48話には、ライダーマンが思わずデストロン首領をかばうシーンがあり、そのことを責める風見に対して、結城は正直に自分の気持ちを吐露していました。かつて自身が絶望的な状況にあったとき、首領に救われたことで恩義を感じていたのです。またデストロンが「科学の力で人間のユートピアをつくる組織」だと信じていたこともあり、そのようなわけで、これまで数々の研究を成功させて組織に貢献してきたのでした。平山さんは自身の手で、この複雑な結城の心情を書きたかったのかもしれません。
そして第51話にて、東京を壊滅させられる「プルトンロケット」が発射されてしまうと、これに乗り込みほかに被害の及ばない上空で自爆することで、ライダーマンは人々を救うという行為に及んだわけです。しかし、どうして最終回を前にしてライダーマンは散らなければならなかったのでしょうか。さまざまな考察が考えられますが、平山さんはこの疑問に対して、次のように明確に答えています。
「一度でもその身を悪に染めた者は、命をもってその罪を償わければならない」
つまり経緯はともかく、デストロンに協力して犯した罪は相応のみそぎが必要だったということでしょう。この自己犠牲の精神がライダーマンを単なるV3の相棒というポジションから、「仮面ライダー4号」というヒーローに変えました。
昨今よくある、敵から味方へと立ち位置を変えるキャラクターを否定するわけではありませんが、自分の犯した罪と向き合うという点を考えると、安易に立場を入れ替えるのも考えものです。罪の清算、そういった通過儀礼がヒーローへと転身するには重要なのでしょう。
ちなみに平山さんの構想では、ライダーマンが再改造されて次回作の仮面ライダーに生まれ変わることも考えられていたそうです。もっとも、あくまでもアイディアのひとつであり、それを裏付ける資料は今のところ見つかっておりません。
平山さんとしては少ない出演回数になった山口さんに申し訳がなかったそうで、前述の構想のほかにも、次回作『仮面ライダーX』への出演も検討していました。もっとも山口さんは同時期に『電人ザボーガー』で「大門豊」を演じていたので、出演は叶わなかったかもしれません。
しかし逆を言えば、出演エピソード9話という短期間ゆえに、ライダーマンというキャラクターはより印象的なものになったともいえます。主人公として生まれなかったゆえに、よりヒーローとして深みを増したライダーマン。子供の頃は気にも留めなかったのですが、大人になってから味わい深いヒーローだと思わせるキャラクターではないでしょうか。
(加々美利治)







