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『愛の戦士レインボーマン』日本特撮史上、最も過激な悪の組織「死ね死ね団」とは?

子供心に焼き付いたセクシーな女性幹部たち

『愛の戦士レインボーマン』VOL.1 [DVD](東宝)
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「死ね死ね団」の魅力は、作戦の狡猾さだけではありません。ミニスカ姿の色っぽい女性幹部たちを、ミスターKはいつも従えていました。アダルトな雰囲気を漂わせるダイアナ(山吹まゆみ)、サイボーグ化された際に黒い涙を流したキャシー(高樹蓉子)、サディスティックな表情が魅力的だったロリータ(皆川妙子)、レインボーマンに倒された他の女性幹部たちの仇を討つために最後まで戦い続けたオルガ(藤山律子)。ミスターKの寵愛を受けようと、女性幹部たちは競い合い、また共闘してレインボーマンに立ち向かうのでした。悪女としての妖しい美しさと哀しみを感じさせた彼女たちも、忘れることができません。

 ミスターKと同様に、原作者である川内氏も謎めいた人物でした。太平洋戦争で亡くなった日本兵の遺骨回収のボランティアを長年行なっていたことから、佐藤栄作内閣をはじめとする日本の歴代政権と親交を持ち、無報酬で政治顧問を引き受けていました。また、1984年に起きた「グリコ・森永事件」の際には、「かい人21面相」を名乗って製菓メーカーを脅迫していた犯人グループに対し、子供たちをおびやかすような卑劣な行為は止めるよう週刊誌上で呼びかけています。

 この時、川内氏は借金して集めた1億2000万円を犯人グループに渡そうとしましたが、「かい人21面相」は「わしら こじきや ない 金 ほしければ 金もちや 会社から なんぼでも とれる」と川内氏からお金を受け取ることを断っています。数々の正義のヒーローを生み出した川内氏が、現実の犯罪者と対峙したことは大変な話題となりました。

ミスターKとは何者だったのか?

 改めて『レインボーマン』を見返すと、やはりミスターKの存在感が際立っていることが印象に残ります。ミスターKの考案した作戦の数々は、今の日本社会でも充分に通用するものですし、実際に日本は経済不況、エネルギー資源の不足、国際社会からの孤立などの要因が重なり、無謀な太平洋戦争に突入したという経緯があります。

 ミスターKの「K」は、川内氏のイニシャルから付けられたものだと言われています。川内氏はミスターKという悪の仮面を被ることで、日本社会と日本人の弱点を公然と指摘し、二度と戦争が起きないことを願っていたのではないでしょうか。そう考えると、ミスターKが最終回で生き延びた理由も納得できます。日本社会に警告を発し続ける役割を、ミスターKは背負っていたのです。

 日本特撮ドラマ史上もっとも過激な悪の組織「死ね死ね団」は、平和であることに慣れすぎてしまった日本人に対して、逆説的に「生きる」ことの重さ、大切さを説いた存在だったといえそうです。

(長野辰次)

【画像】7つの化身の姿で戦うレインボーマン(7枚)

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