『母をたずねて三千里』マルコは母に会えたのか? 実は原作の一部でしかなかったらしい
最終回はハッピーエンドで

マルコが母と再会を果たすのは最終話まで残すところあと1話となった、51話「とうとうかあさんに」のエピソードです。ここに至るまでマルコは三千里(約12000km)もの距離を旅してきました。移民船に密航したり、何日にもわたって歩き続けたりしてきたのです。
一方、母はというと、家族と連絡が取れなくなってから意気消沈してしまい、奉公先の農場で病気にかかって(原作では腸がつまってヘルニアになった、との記述)雇用主であるメキーネスの屋敷のベッドで生死の境をさまよっています。医師の診断によると、母の脈は弱っており、手術に耐えられる体ではないとのこと。絶体絶命です。
しかしそこへ長旅でボロボロになったマルコが現れ、意識がもうろうとしていた母に語りかけたことで、どうにか気力を取り戻します。その後、脈が安定した母は手術を受け、無事に生還しました。
続く最終話「かあさんとジェノバへ」ではアンナの病気が全快するまで屋敷に逗留した後、ふたりでジェノバに帰ります。帰り道で、これまでマルコを助けてくれた人たちと再会するシーンは感動ものです。そしてついにふたりはジェノバの港に辿り着き、家族が再会するシーンで『母をたずねて三千里』は完結となります。
ちなみに原作ではアンナが手術から生還するシーンでエピソードが終了してしまい、やや唐突感があります。しかしアニメでは母と一緒の幸せな帰り道が1話まるごとかけて丁寧に描かれる良改変でした。これまでの旅の苦労へのささやかなご褒美といったところでしょうか。
●共通語としての児童文学
日本の民話や伝承をアニメで伝える『まんが日本昔ばなし』と海外の名作児童文学をアニメ化した「世界名作劇場」シリーズは、当時の子供たちに大きな影響を与え、一定の世代に文化的な共通基盤を築きました。
しかしインターネットの普及により趣味嗜好が多様化した現在、「世界名作劇場」のようなアニメシリーズの制作は難しいかもしれません。本シリーズはまさに昭和から平成初期にしか成立しなかった「時代の産物」だったといえるでしょう。
(レトロ@長谷部 耕平)

