『母をたずねて三千里』マルコは母に会えたのか? 実は原作の一部でしかなかったらしい
「世界名作劇場」で1年にわたって放送された『母をたずねて三千里』の結末をご存じですか。最後までチェックしていなかった、知っているけど最後どうなったか分からないという方も多いのでは? この記事でいつの間にか忘れていたモヤモヤを晴らしましょう。
マルコの旅の結末を覚えていますか?

『フランダースの犬』や『アルプスの少女ハイジ』などで知られる「世界名作劇場」(正式名称は『カルピスこども名作劇場』と『ハウス食品・世界名作劇場』)は日本を代表するアニメシリーズのひとつです。
そのなかでも特に結末が気になる一作といえば、9才の少年マルコがアルゼンチンに出稼ぎに行った母「アンナ」を訪ねて、たったひとりでイタリアのジェノバから旅をする『母をたずねて三千里』でしょう。
果たしてマルコは母に会えたのでしょうか?
●原作は1800年代の児童文学
1976年1月から12月まで全52話が放送された『母をたずねて三千里』は、イタリアの作家「エドモンド・デ・アミーチス」の小説『クオーレ』の一部を原作としてアニメ化されたものです。「クオーレ」は1886年のイタリア王国で書かれた本で、10才の少年エンリーコの10か月が描かれています。
『母をたずねて三千里』は『クオーレ』作中で先生が語った「母をたずねて三千里 アペニン山脈からアンデス山脈まで」のお話がもとになっており、実は独立した作品ではなく、作中エピソードのひとつがアニメ化されたものです。
●アニメ化では改変多数
原作の『クオーレ』を読み返すとアニメが大きく改変され、描写が分厚くなっていることに驚かされます。『クオーレ』で語られたマルコは13歳ですが、アニメでは9歳に変更されており、旅芸人のベッピーノ一座も本来は登場しません。アニメは低年齢になって旅がハードモードになった代わりに助けてくれる人を増やした、といったところでしょうか。ペットの猿の「アメディオ」はもちろんアニメのオリジナル要素です。
また、原作ではマルコが母に会いに行く理由がいっさい語られていない点にも注目です。岩波文庫版の『クオーレ』によると、原作エピソードの冒頭が「何年も前のこと、ジェノヴァ(原作表記)の少年で、十三になる労働者の息子が、ジェノヴァからアメリカ大陸まで、たったひとりで母親をたずねていった」となっており、アンナが出稼ぎにいった理由やマルコが苦労して会いに行く動機が不明です。
そのためアニメでは父親が診療所建設のために借金を作り、その返済のため母が愛する息子たちを残してアルゼンチンに出稼ぎに行った、その連絡が途絶えたからマルコが旅立ったという背景が作られたようです。

