30年後に大出世? 宇宙刑事シリーズ唯一のレギュラー「大山小次郎」の隠された実力
小次郎が銀河連邦警察にスカウトされた理由は何だ?

普通の人だった小次郎がなぜこのような大出世を遂げたのか疑問に思いますが、オリジナル3部作をよく見返すと、小次郎には非凡な強みがあったことが分かります。
まず小次郎による自家製のUFO探知機は、小型ながらも高性能で、機械が反応する場所には必ず宇宙犯罪組織がいて、犯罪に巻き込まれてしまうのがお決まりでした。しかし、正確に探知できても、結局は宇宙刑事が犯罪組織をやっつけて探知機が反応しなくなり、本人も探知機が高性能である事実に気付かなかったという展開がほとんどです。
また小次郎は感染力の強いウィルスに罹患しない、「特異体質」でもありました。『シャイダー』第20話「不思議ソング」では、「不思議ソングフラワー」の花粉によって、人びとが凶暴化します。各国の首脳も攻撃的になり、あわや核戦争勃発の事態にまでエスカレートしました。
花粉を吸って不思議ソングを聴くと、誰もが人に敵意を持つようになり凶暴化するなか、なぜか小次郎だけは感染しません。ワクチンなしで危険なウィルスに感染しない小次郎の体質は、銀河連邦警察に加入するための大きな強みになったはずです。
残念ながら『NEXT GENERATION』のなかでは、小次郎がどのような経緯で銀河連邦警察の一員になったのかは説明されていません。しかし、2012年『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』では、「『大山エネルギー研究所』を創設した大山小次郎博士は、20年前(1992年)にワームホール生成のトリガーとなるアクシオン隕石を回収した』とされています。『シャイダー』終了後も小次郎はUFO研究を続けた結果、次世代エネルギーを発見し、「大山エネルギー研究所」を創始したのでしょう。自家製探知機は、発見に大きな役割を果たしたに違いありません。劇中の研究所はたくさんの研究員を抱え、警備員もいる大きな施設でした。
小次郎が回収した隕石は物語の核となるアイテムで、「宇宙犯罪組織マクー」の残党が狙います。そして、隕石が奪われた後、大山エネルギー研究所はマクーに破壊されます。そのときすでに小次郎は所長を退任しており、研究所にはいませんでしたが、『NEXT GENERATION』の最終作『宇宙刑事シャイダー NEXT GENERATION』ではようやく小次郎が登場し、「二代目ギャバン」こと「十文字撃」の捜査を後方支援していました。
銀河の覇権を握る小次郎の研究は、宇宙犯罪組織からマークされやすくなります。おそらく銀河連邦警察が小次郎の安全を守るために、本部の「バード星」に保護し、そこから連邦警察の訓練を受け、彼がサイバー犯罪捜査官になったと推測できるでしょう。
身柄を保護されたのをきっかけに銀河連邦警察の一員になった前例としては、「星野月子」がいます。月子は「プラズマエネルギー」の開発者だった星野博士の娘です。星野博士は「ギャバン」こと「一条寺烈」の父「ボイサー」の親友でもあり、『ギャバン』の物語全体の鍵を握る重要人物でした。宇宙犯罪組織に狙われたため銀河連邦警察に保護されたことをきっかけに訓練を受け、一員になっています。
『NEXTGENERATION』3部作の脚本はオリジナル3部作を執筆した上原正三さんではありませんでしたが、上原脚本の大ファンである荒川稔久さんの脚本はオリジナルへのリスペクトが伝わるものでした。「宇宙刑事」シリーズを愛してやまない荒川さんだからこそ、小次郎が大出世する展開を描けたのではないでしょうか。
(LUIS FIELD)

