「戦隊シリーズ」休止で心配に…? 『超ギャバン』にも期待したい、「特撮に不可欠な要素」とは
長く続いた戦隊シリーズが休止となり、かわりに放送が始まった『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』で、特撮ヒーローに欠かせない「ある要素」の今後が気になります。それに関して、「スーパー戦隊シリーズ」が担ってきた役割についても解説します。
「戦隊シリーズ」と相性が良かった「特撮の不可欠要素」

半世紀にも及ぶ歴史を積み重ねてきた「スーパー戦隊シリーズ」が休止となり、新番組『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』が放送開始しました。そして「仮面ライダー」「ウルトラマン」シリーズも含めて、日本の特撮シーンは変わらぬ盛り上がりを見せ続けています。ファンとしては、特撮ヒーロー番組が続いているだけでも嬉しいのです。
一方、筆者は今回の「スーパー戦隊」休止を受けて、日本の特撮ヒーロー番組に不可欠と考える「ある要素」が大幅に縮小してしまうのではと、一抹の不安を覚えていました。
その「要素」とは何でしょうか。最新の特撮技術を盛り込んだ映像美? 大人も楽しめる奥行きのあるストーリー? 新規怪人、怪獣の登場? いいえ、こうした要素は、どの特撮ヒーローシリーズにも共通で、ほぼ毎週のように魅せてくれています。
「スーパー戦隊」休止により、若干、特撮シーンに不足してしまうのではないかと思われるのが、「ギャグ」要素です。特撮ヒーローにおけるギャグ要素には、なんとも言えぬ破壊力がありました。そのなかでも、「スーパー戦隊シリーズ」は、ギャグとの相性が抜群だったのです。
もちろん「仮面ライダー」「ウルトラマン」にもギャグ成分が多い作品やエピソードは多数存在します。何なら、平成以降の「仮面ライダー」は「夏のギャグ回」と呼ばれる、ギャグに振り切ったエピソードが突如放り込まれることでもお馴染みです。
とはいえ、仮面ライダーの「ギャグ回」が際立つのは、あくまでも本編の重厚なストーリーという前提があってこそのものです(それでもなおギャグが目立つ作品があることは、改めて強調しておきます)。
それに対して「スーパー戦隊シリーズ」にはーー私見ながらーーどの作品にも、ギャグを許容する土壌がありました。それは別に『激走戦隊カーレンジャー』や、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』といった、全編クレイジーなノリが支配する作品に限ったものではありません。「戦隊」という形式がそうさせているように思えます。
基本は5人編成である戦隊のひとりひとりを際立たせるためには、それぞれに強い個性(キャラクター)が必要です。良くも悪くも極端な性質の持ち主たちが、力を合わせて戦います。すると、そこに生じた齟齬(そご)は、まさしくギャグの発生源となるのです。
シリーズを重ねるうちに「お約束」が増えていったのもまた、メタ的なギャグとの親和性を高める要因でした。「怪人の巨大化」「長い変身シーン」「合体ロボ」「追加戦士」などの「お約束」はいじられやすく、現在までギャグマンガやコントの題材として重宝されてきました。
また、公式が「お約束」をイジることだってありました。放送形態から見ても、だいたいは1話完結で、約50話という話数もまた、ギャグ的な土壌を大いに作り上げていました。
いずれにせよ、特撮ヒーローを視聴する年齢層からすれば、シリアスな展開だけでなく、「楽しさ」もまた重要な要素です。あまつさえ「仮面ライダー」よりもさらに低い年齢層をターゲットにしていた「戦隊シリーズ」からすれば、ギャグ要素は必要不可欠だったと言えます。
それでは、新番組『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』第1話はどうだったでしょうか。1982年の『宇宙刑事ギャバン』は、これまでにない本格志向のSF要素、そして血のたぎるようなドラマ展開がベースでした。同じ路線なら、特撮シーンのギャグ濃度は一時的に低下することになリます。実際に放送された第1話「赤いギャバン」はどうだったでしょうか。
これが意外にもコミカルでした。もちろん、コミカルだからといってギャグが多かったわけではありません。主人公「弩城怜慈」の軽妙さをデフォルトしたセリフ、さらに窓際部署「資料課」所属という建て付け、またすでに小競り合いを繰り広げている同期たち……。ギャグが爆発する準備は整っています。
とはいえ、コミカルさをフリにしたシリアス路線もまたあり得ます。『超ギャバン』の可能性は「インフィニティ(=無限)」そのものです。だからこそ、特撮ギャグを愛好する者としては、そうした路線を少しだけ期待してしまうのです。
(片野)


