【インタビュー】春アニメ『アルゴナビナス』の音楽愛。下積みも失敗も「物語の一部」に
ライバルバンドも登場。重厚なサウンドで目標となる存在に?
──昨年末にTOKYO DOME CITY HALLで行われた2nd LIVEには、「GYROAXIA(ジャイロアクシア)」という、強力なライバルバンドが、サプライズで登場しました。
北岡 ゲーム版も含めて、特徴の異なる5バンドを立ち上げるという計画が当初からありました。「GYROAXIA」は、Argonavisと同じく、そのなかのひとつになります。
──ArgonavisとGYROXIAは、例えば「ライバル」といえるような対照的な存在でしょうか?
北岡 そうですね。ただ、Argonavisのライバルというより、彼らより先を行く、いわば「目標」となる存在なのかもしれません。音楽に勝ち負けというのは本来存在しないのですが、Argonavisから仰ぎ見られる存在である以上、少なくとも雰囲気は違っていなければならない。だからこそ、「GYROAXIA」の楽曲は、「王道」なArgonavisとは異なる、ヘビーな路線で勝負しようと思ったんです。
ただ、Argonavisの楽曲も、単に「王道」なだけで心に残るフックのようなものがなければ、聞き流されてすぐに忘れられてしまう。そこで取り入れたのが、彼らならではの「泥臭さ」なんです。歌詞はキャラクターが抱える苦悩や、それを乗り越えていく先の希望を表現しています。
──それぞれのバンドの楽曲に、そのバンドだからこその「引っかかり」があるというわけですね。
北岡 もちろん、まず音楽ありきのコンテンツというのが前提です。例えばキャラクターありきでキャラクターソングとして楽曲を発表した場合、どうしてもキーが限られて、楽曲の振り幅も狭くなってしまうと思っています。
でも、Argonavisはそうじゃない。デビュー曲の「ゴールライン」も、キーの高低差がかなりあって、誰もが簡単に歌えるような曲ではありません。この歌は、伊藤昌弘さんがいなければ形にできなかった。GYROAXIAも同じで、最初に発表した「MANIFESTO」はラップやシャウトを織り交ぜたテクニカルな曲ですが、ボーカルの旭 那由多を演じる小笠原 仁さんがいなければ、この曲は生まれなかったでしょう。
──プロデュース側がキャストと側と同じ目線で手を取り合って、共に作り上げていくコンテンツであるように感じます。
北岡 そこは『バンドリ!』でも、最も大切にしている部分です。僕たちもキャストもファンの皆さんも、一体になって泥臭く汗をかきながら、ひとつずつ夢を形にしていきたいですね。