シリーズ第49作『ゴジュウジャー』が「50番目の戦隊」になったカラクリで百家争鳴!
数え方が時代とともに変化したスーパー戦隊シリーズ
実はスーパー戦隊シリーズのカウントが変わるというのは、いまに始まったことではありません。過去にも何度かそういうことがありました。
もともと第1作『ゴレンジャー』は、当然シリーズとして始まったワケではなく、第2作『ジャッカー』もパターンを踏襲したものの、明確にシリーズとして制作されたものではありません。まして、第3作『バトルフィーバー』まで1年の空白期間がありました。
つまり作品がシリーズ化したのは途中からということになるでしょう。具体的にどこからシリーズ化されたかというのは個人の見解によるでしょうが、シリーズ第4作『電子戦隊デンジマン』からと考えるのが妥当かもしれません。
『デンジマン』は「戦隊」という単語を使ったうえ、色分けでヒーローを区別するという現在の戦隊の基本フォーマットとなった、『ゴレンジャー』以降で初めての戦隊です。また敵ボス「ヘドリアン女王」が次回作であるシリーズ第5作『太陽戦隊サンバルカン』にも登場し、その作品世界をつなげました。
この『サンバルカン』以降から児童雑誌などで「スーパー戦隊シリーズ」という表記も出始めます。そういったことを振り返っていくと、このあたりからシリーズが始まったといえるかもしれません。
もっとも、カウントの仕方は当時から定まっていたわけではなく、そこには複雑な事情もありました。というのも『ゴレンジャー』と『ジャッカー』は石ノ森章太郎(当時は石森)先生の原作による作品ですが、『バトルフィーバー』以降は「八手三郎原作」となっていたからです(「八手三郎」は東映のプロデューサーらの共同ペンネーム)。
こういったことから、出版社によって見解は違っていたものの、現在のシリーズ第12作『超獣戦隊ライブマン』で「スーパー戦隊10th」ロゴマークが作られ、一度は正式にスーパー戦隊シリーズは『バトルフィーバー』が第1作とされていました。
しかし、このスタンダードも時代とともに変化していきます。その後、シリーズ第19作『超力戦隊オーレンジャー』は「戦隊シリーズ20周年記念」と標榜し、それ以降は正式に『ゴレンジャー』がシリーズ第1作となっていまに至りました。
こういった歴史的背景を振り返ると、古参ファンは「またか」と思うのも無理ないでしょう。いわゆる公式がそう決めたなら、それが「絶対」というわけです。
もっともファンのなかには、「同じ番組内で登場しても別戦隊として扱うなら、第26作『忍風戦隊ハリケンジャー』に登場した『電光石火ゴウライジャー』の立場は?」という声もあります。ほかにも『非公認戦隊アキバレンジャー』を加えれば、『ゴジュウジャー』が第50作になるという乱暴な意見もありました。
このように、放送前からファンの間で話題沸騰中の『ゴジュウジャー』、番組開始前のファンの熱量としては十分というところでしょうか。
(加々美利治)