「オーバーエロ、失格ゥ!」←何のこと? 唐突だが良かったマンガ最終回
マンガが後世まで語り継がれる人気作品になるには、途中はもちろん、どのような最終回を迎えるかも重要です。ところが、なかには打ち切りなどのやむを得ない事情も絡み、読者の度肝を抜く唐突な終わり方で話題になったマンガもありました。
続きそうなのに、まさかの最終回

楽しみにしているマンガ作品ほど、どのような最終回を迎えるのかは気になるものです。スポーツマンガであれば、主人公が公式大会で優勝を果たし名誉を手にするなど、目的を達成する円満なエンディングを望む人も多いでしょう。しかし、なかには唐突な終わりを迎えた作品もありました。
例えば、野球マンガ「ダイヤのA」シリーズ(作:寺嶋裕二)は連載の最終回は2年生に進級した投手の主人公「沢村栄純」が甲子園のマウンドに立つ場面で物語が幕を閉じ、試合途中で終わる展開は読者の間で賛否を呼びました。
試合途中で連載が終了した野球マンガは『ダイヤのA』だけではありません。『頭文字D』や『バリバリ伝説』などの作者であるしげの秀一先生の作品『セーラーエース』も試合途中で完結を迎えました。同作は、野球を辞めてギャルになった主人公「桜木繭(まゆ)」が再び野球の道に戻り、「関東女学院野球部」のエースとして活躍する女子の硬式野球を描いた作品です。
最後は強豪校「青山インターコンチネンタルハイスクール」の相手投手が登板の準備を始め、エース同士の戦いが描かれようとしたところで終わります。観客のおじさんが「大会屈指の好投手どうしのガチンコが見られるぞい」と喜ぶ場面が最後のコマで、肝心の対決は描かれないままでした。
また、相撲マンガ『バチバチ』から続くシリーズ3作目『鮫島、最後の十五日』(作:佐藤タカヒロ)も、やむを得ない事情による幕切れが惜しまれる作品です。暴力事件で追放された名大関を父に持つ「鮫島鯉太郎」が角界で成り上がっていく物語で、『鮫島、最後の十五日』では満身創痍となった鮫島が、最後の場所として挑む15日間が描かれます。
しかし、連載中に佐藤先生が急逝したため、残念ながら千秋楽を迎えることなく物語は完結を迎えます。
最終20巻では、13日目にシリーズ最初の相手だった大関「猛虎」との因縁の一番が描かれ、鮫島は追い込まれるも大逆転勝利を収めました。そして、無敵の横綱「泡影」に向かい鮫島が「呼んだか…?」と不敵な笑みを浮かべる場面で終了します。
最後まで読みたかったとの声もいまだに多くありますが、未完ながら「突然の訃報だったのに綺麗なくらいの最終回だった」「もっと読みたかったけど、満足いく終わり方だった」と評判の高い幕切れでした。
そして「週刊少年サンデー」(小学館)で2013年から2017年まで連載された『競女!!!!!!!!』は、意外な結末を迎えた作品です。同作は、水着で胸や尻を使い、相手をプール上の浮島から突き落とす架空の公営競技「競女」を題材とし、主人公の「神無のぞみ」が「宮田さやか」をはじめとするライバルと切磋琢磨します。
最後は「五尻」と呼ばれる指折りのトッププロ選手だった「雪月いくみ」の引退記念大会「尻卒祭」で、のぞみとさやかが決勝戦まで勝ち進みます。しかし、ゴングが鳴ると同時にのぞみとさやかの尻同士がぶつかりあい、互いの水着が破れた結果、レッドカードを出して「オーバーエロ!! 失格ゥゥゥ!!!」と告げる審判に大きな「終尻(しゅうけつ)」の文字が添えられて終わります。
前話の時点で、のぞみが仲間たちと協力し五尻を倒す展開が描かれているため、物語としては完結しています。最後のエピローグとしてお遊び的な要素とはいえ、その予想外の結末に衝撃を受けた読者も少なくありませんでした。
(LUIS FIELD)