ガミラスの「三段空母」現実では…空母「赤城」に見る多段式空母がアカンかったワケ
新旧の『宇宙戦艦ヤマト』に登場するガミラス帝国の多層式宇宙空母は、完全に空想の産物、とは言い切れません。実際に旧日本海軍でも三段構えの甲板を備えた空母が存在しました。なぜ「多層式」は、現実では主流にならなかったのでしょうか。
航空母艦黎明期の試行錯誤の証「三段甲板」とは?

1942(昭和17)年6月5日は、ミッドウェー海戦で空母「赤城」が沈んだ日です。太平洋戦争で日米の命運を分けることになった歴史的なこの戦いで、日本海軍の機動部隊はアメリカ海軍の急襲を受け、旗艦であった「赤城」は大きな損傷を負い、最終的に味方の雷撃処分によって自沈する運命をたどりました。
「赤城」はプラモデルとしても人気艦です。でも実は同じ「赤城」でも、時代によってまったく異なるふたつのシルエットが存在することをご存じでしょうか。たとえば、ハセガワのプラモデルにも、同じ1/700スケールに「日本航空母艦 赤城 “三段甲板”」と「日本航空母艦 赤城」がラインナップされています。太平洋戦争時は後者の姿で、当時の他の一般的な空母と同じ全通式の飛行甲板でしたが、建造当初の赤城は前者、すなわち甲板が三段構えだったのです。
「三段甲板」と言えば『宇宙戦艦ヤマト』に登場する、ガミラス帝国の通称「三段空母」が思い浮かぶ方もいるかもしれません。
「全機、発艦始め!」多層構造の発艦デッキから艦載機が次々と飛び立っていく――アニメ『宇宙戦艦ヤマト』に登場するガミラス帝国の三段空母こと「多層式宇宙空母」は、ガミラス艦隊の象徴的存在として描かれ、その異形と迫力ある発艦シーンで多くのファンに強烈な印象を残しました。初代版ではドメル将軍麾下第1空母から第3空母の3隻、リメイク版『宇宙戦艦ヤマト2199』では「ガイペロン級多層式航宙母艦」として登場し、上下に積み重なるデッキを駆使して一斉に艦載機を発進させるその姿は、空母という艦種を自由に再構築したフィクションならではの造形です。
このガミラスの多層式空母は、非現実的な構造に思えます。しかし「多くの機体を効率よく発艦させる」という理屈は、軍事的合理性のような説得力すら帯び、また何か異質な存在感があって「かっこいい」と感じてしまう方もいることでしょう。しかしそこには、意外にも現実の「試行錯誤の技術史」が影を落としています。すなわち、その発想の原点ではないかと見られる、上述した日本海軍の正規空母「赤城」と「加賀」の当初の姿、「多段空母」という出発点です。
赤城は、1920年代にワシントン海軍軍縮条約の制限下で、巡洋戦艦から空母へと改装された艦です。
空母改装後の赤城の計画基準排水量は2万6900トンであり、これはワシントン海軍軍縮会議直前に海軍が計画していた空母の約2.5倍という規模で、まったく想定外の超大型空母が誕生してしまいました。海軍は艤装(ぎそう)に悩み、「多段式甲板案」と一段の「全通式甲板案」が検討されます。結局イギリスの戦艦から改装された「フューリアス」を参考に、多段式が採用されることになります。
当時の艦載機はまだ小型非力で発着艦能力が未発達だったため、離陸と着艦の飛行甲板を物理的に分けるという発想で構成された三層構造です。着艦と大型機の発艦は最上段の飛行甲板で行い、中段は砲塔や艦橋と機体格納、下段は小型機の発艦用とされました。















