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生まれから危うい戦艦「陸奥」 秘めごと多きアイドルの「謎の爆沈」へといたる航跡

旧日本海軍戦艦「陸奥」は謎の最期を迎えたことで戦後、創作物の題材にもなります。その航跡を振り返ると、誕生時から実にあやうい「火遊び」に手を出していた、秘めごとの多い「アイドル」でした。

世界の「トップアイドル」から「燃料タンク」へ

2025年7月24日ごろ発売予定、1/350スケールプラモデル「日本海軍 戦艦 陸奥」(ハセガワ)
2025年7月24日ごろ発売予定、1/350スケールプラモデル「日本海軍 戦艦 陸奥」(ハセガワ)

 プラモデルメーカーのハセガワより1/350スケールの「日本海軍 戦艦 陸奥」が、2025年7月下旬、発売されます。1941年開戦時の姿を再現したキットで、エッチング(金属製)パーツとして「陸奥」専用の手すりが付属するとのことです。

 その戦艦「陸奥」は誕生から最期まで、例えるならアイドルのような秘めごとの多い道のりを歩んだフネでした。

 日本海軍の戦艦と言えば「大和」「武蔵」が代表格ですが、存在が秘密だったこともあり有名になったのは戦後になってからです。戦前、戦中の日本海軍を代表する艦といえば「長門」と「陸奥」が双璧でした。「陸奥と長門は日本の誇り」と、いろはかるたにもうたわれる戦前日本男子のあこがれのアイドル艦で、「陸奥」は1927(昭和2)年10月30日に行われた海軍特別大演習観艦式で昭和天皇の御召艦を務めています。

 戦後は大和に押され気味でアニメやマンガに登場する機会もあまりない印象です。それでもゲームなどでは存在感を発揮しており、たとえば『艦隊これくしょん-艦これ-』の擬人化キャラには「あまり火遊びはしないでね」と意味深なセリフがあります。

 アイドルらしく生まれからして秘めごとずくめでした。1921(大正10)年の「ワシントン軍縮条約会議」で、開催日の11月11日までに完成していない艦は廃艦されると決められましたが、「陸奥」は何とか廃艦を免れようと未成工事を残しながら竣工日を10月24日と言い張ります。しかも主砲は条約で定められた最大16インチ(40.6センチ)を越え41センチというレギュレーション違反でした。米英の査察団を必死の偽装工作と接待攻勢(お色気含む)でごまかして切り抜けるという、誕生時から「火遊び」に手を出していたわけです。

 こうして、16インチ砲を搭載した列強国の戦艦7隻による世界のトップアイドルグループ(?)「ビッグ7」の一員となることができました。しかし1941(昭和16)年12月に太平洋戦争が始まると、海上艦艇の主役は高速の空母機動部隊になります。「陸奥」はミッドウエー作戦やガダルカナル島戦に参加するも、すでに低速戦艦の時代ではなく、敵艦と砲火を交えることはありませんでした。こうして表舞台に立つこともなくなっていきます。

「大和」や「武蔵」が後方待機ばかりで「大和ホテル」「武蔵屋旅館」と陰口をたたかれていたことは広く知られた事実です。それは「陸奥」も同じで、ただ燃料を溜め込んで待機している時間が長く、たまに駆逐艦たちへ給油するという体で、アイドルらしからぬ「燃料タンク」呼ばわりされていました。

【画像9枚】艤装中から改装後まで こちら「陸奥」の変遷と現存する41センチ砲です

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