ゲームから学んだ知識は「本物」か? 今さら気づく盛大な勘違い バハムートは「竜」じゃなかった
「水は電気をよく通す」「四神は青龍、朱雀、玄武、白虎」など、ゲームは時として多くの知識を与えてくれますが、必ずしも全てが正しいとは限りません。大人になってから振り返ると、思わぬ「勘違い」に気付くこともあるのではないでしょうか。
「水タイプ」は電気に弱いのが「常識」だが?

子供の頃、多くの人が「ゲームばかりしていると頭が悪くなるよ!」と注意された経験があるでしょう。しかし、ゲームで遊んでいた時間がまったくの無駄だったかといえば、そうとも言い切れません。ゲームを通じて地名や歴史上の人物、神話の名前などを覚え、それが後の学びや興味につながったという人も少なくないでしょう。
例えば「ポケットモンスター」シリーズの「タイプ相性」は、今でこそ「覚えるのが大変」という声も聞かれますが、初代『ポケモン』を遊んだ世代にとってはゲームのシステムを超えた「常識」ともいえる存在でした。
なかでも「水は電気に弱い」というタイプ相性は、TVアニメ版で主人公「サトシ」の相棒を「ピカチュウ」が務めていたこともあり、「水は電気をよく通す。だから電気タイプは水タイプに強い」という知識が、多くの子供たちの間で広く共有されていました。
ほかにも『魔界塔士Sa・Ga』などの影響で四神(青龍、朱雀、玄武、白虎)を全部言えるようになる、『桃太郎電鉄』で全国の地名や特産品を覚える、『ファイナルファンタジー』や『真・女神転生』で神話や伝承に興味を持つ、といった事例がありました。『真・三國無双』や『信長の野望』で歴史上の偉人を覚えた人もいれば、『ウイニングイレブン』で世界の国や選手名に詳しくなった人もいるでしょう。
こうして振り返ると、ゲームが与えてくれた「学び」は決して少なくありません。
しかしその一方で、ゲームで間違った知識を手に入れてしまうこともしばしばあります。前述の「水は電気をよく通す」という知識についても、厳密には「水そのもの」が電気を通すわけではありません。
そもそも水は本来、電気を通さない絶縁体です。ただし我々が日常的に目にする水は純水ではなくさまざまな不純物が含まれているため、電気を通すとされています。水が電気を通すのではなく、不純物が電気を通すのです。
ほかにも誤解を招いた「知識」の代表例として、架空の幻獣「バハムート」が挙げられます。もともとバハムートはイスラム圏の伝承に登場する海獣で、巨大な魚のような存在として語られてきました。
一方、ゲーム内で描かれるバハムートの多くが「ドラゴン」の姿をしています。『ファイナルファンタジー』をはじめ、RPGの原点とされるTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』でもドラゴンの姿で登場したことから、いまでは「バハムート=ドラゴン」というイメージがすっかり定着しているのです。
また「ストリートファイター」シリーズに登場する「ダルシム」の影響で、「ヨガ」というものに独特なイメージを持っていた人も少なくないでしょう。インド出身のヨガ修行僧であるダルシムは、人間離れした技を繰り出すキャラクターとして描かれていました。そのため、ヨガを極めれば「火を吹ける」「手足が伸びる」といった印象や、ヨガそのものが格闘術や武術の一種であるかのような印象を一部に植え付けた可能性があります。
もちろん、ゲームのなかには遊びや演出を優先するため、現実とは異なる設定も数多く存在します。サイレンサー付きの銃が無音になったり(実際は完全な無音にならない)、ヘアピンで扉の鍵をいとも簡単に開けたり(実際にはそう簡単でない)する描写も、そのひとつでしょう。
それでも、ゲームが地理や歴史、神話、スポーツなど、さまざまな分野に興味を持つきっかけを与えてくれたことは間違いありません。「もっと知りたい」と思わせてくれたなら、それはゲームが果たした役割は大きかったといえるでしょう。
もちろん、それを本物の「知識」として身につけるには、本当に正しいかどうかを資料などで確かめる「学び」が必要なのは言うまでもありませんが……。
(ハララ書房)


