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作品の「ヒット」を予感する瞬間とは? 映画宣伝プロデューサーへ取材

2025年8月29日(金)より映画『九龍ジェネリックロマンス』が公開されます。この作品にも携わる宣伝プロデューサー、奥村裕則さんに映画宣伝の舞台裏とヒットを予感する瞬間について、さらに自身が講師をされている映画学校「ニューシネマワークショップ」についても聞きました。

宣伝プロデューサーが語る「ヒットの法則」

画像は奥村裕則さんが宣伝プロデューサーを担当した、アニメ版と映画版の『九龍ジェネリックロマンス』ビジュアル
画像は奥村裕則さんが宣伝プロデューサーを担当した、アニメ版と映画版の『九龍ジェネリックロマンス』ビジュアル

 映画やアニメが世に出る前に、私たちの心をつかむ魅力的なポスターやキャッチコピー、予告編をはじめとしたさまざまな宣伝施策。それらを企画し、作品の魅力を最大限に引き出す「宣伝プロデューサー」という仕事を知っていますか? 150作品以上の宣伝に携わってきた奥村裕則さんに、映画宣伝の舞台裏と成功の秘訣について話を聞きました。

●「宣伝プロデューサー」とは何か

 奥村さんは、宣伝プロデューサーの仕事内容について「配給会社やメーカーなどクライアントから映画・アニメの作品宣伝の統括業務をお預かりする」と説明します。

 具体的には、作品の持つ面白さを最大限魅力的に伝えるため、宣伝コンセプトを決め、それをもとにキャッチコピーやポスター、予告編などの宣伝ツールを制作するそうです。それと同時に、作品のターゲット層を見極め、効果的な宣伝施策やイベントを予算内で企画・構築しスケジュール管理をする重要な仕事だといいます。

●宣伝する側の人が「作品のヒット」を予感する瞬間とは

 数多くのヒット作に携わってきた奥村さんに、成功を予感する瞬間について尋ねると「宣伝が作品を盛り上げている状態からいつの間にか手が離れ、観客の皆様が作品を盛り上げている〈お祭り状態〉になる瞬間」だと話します。

 そして「それらが着火点となって観客の作品に対する熱量が高まり、宣伝を超えていく瞬間」がヒットするときだと語ります。もちろん作品自体の力も重要で、「『ルックバック』の『スキップするシーン』を観たときに、この映画はすごいことになると確信した特例もあります」と具体例もあげてくれました。

にらみ合う、鯨井令子と工藤発。アニメ『九龍ジェネリックロマンス』場面カットより
にらみ合う、鯨井令子と工藤発。アニメ『九龍ジェネリックロマンス』場面カットより

●『九龍ジェネリックロマンス』への想い

 現在、奥村さんが宣伝プロデューサーを務める『九龍ジェネリックロマンス』は、懐かしさあふれる街「九龍」を舞台に「鯨井令子(くじらい れいこ)」と、その先輩「工藤発(くどう はじめ)」を主軸に物語が進みます。工藤の婚約者がなぜか鯨井と同じ姿をしていたり鯨井自身に過去の記憶がなかったりと、心惹かれるミステリーと切ない恋模様が描かれます。

 この作品の魅力について、奥村さんは「時間軸も過去と現在が交錯するなかで、徐々に九龍の街に隠された秘密が見えてくるという仕掛けがされています。一見、複雑そうに見える作品ですが、この作品の芯の部分にはとても普遍的なメッセージが込められていて、そこが特に大好きなポイントです。」と熱く語りました。

 続けて「『忘れられない過去や大切な人の喪失による後悔』といった感情は多くの人が経験するものであって、もし、この感情にとらわれてしまったとき、人はどうなってしまうのか。取り戻せない時間へのひとつの答えが見つかる作品」だと説明します。

工藤発との急接近に、ドキドキする鯨井令子。映画『九龍ジェネリックロマンス』場面写真より
工藤発との急接近に、ドキドキする鯨井令子。映画『九龍ジェネリックロマンス』場面写真より

●映画宣伝の道とNCW講師としての活動

 宣伝プロデューサーとして働く奥村さんは、現在、映画やドラマの第一線で活躍するクリエイターや作品宣伝のノウハウなどを学べる学校「ニューシネマワークショップ(NCW)/※1)」で、配給・宣伝を学べる「みせる」コースの講師を担当しています。これから公開される実際の作品を課題として、宣伝コンセプトの設計から具体的な施策立案、ポスタービジュアルの考案、SNS宣伝計画までを実践的に学べる講座です。

 最後に奥村さんは「ひとりでも多くの方にこの業界で働いていただくことが、長くこの業界で仕事をしてきた自分のひとつのやりがいにも繋がっています。」「受講生だった方が実際に業界に入ってから声をかけてもらえることがとてもうれしいですね。」と、未来の宣伝プロデューサー育成にかける想いを語ってくれました。

 映画やアニメが公開されるまでの裏側には、奥村さんのようなプロフェッショナルの熱意と緻密な戦略があることが分かります。観客の心を動かす宣伝の力が、作品を大ヒットへと導くのでしょう。

今回取材させていただいたのは、アニメ版と映画版の『九龍ジェネリックロマンス』の宣伝プロデューサーなどに携わる奥村裕則さん
今回取材させていただいたのは、アニメ版と映画版の『九龍ジェネリックロマンス』の宣伝プロデューサーなどに携わる奥村裕則さん

●〈※1〉映画学校「NCW(ニューシネマワークショップ)」について

 29年目を迎えるニューシネマワークショップは、映画を「つくる人」と「みせる人」を養成する映画学校。監督・脚本家を目指す「つくる」コースでは、『愛がなんだ』の今泉力哉監督や『silent』脚本家・生方美久さんなどのクリエイターを多数輩出。映画業界への就職を目指す「みせる」コースでは、600人以上の卒業生が映画配給会社や宣伝会社を中心に、興行やメディアなどさまざまな分野に就職し、多方面から日本の映画業界を支えている。

 2025年10月から始まる新学期に向けて、説明会を順次開催中。オンラインでの参加も可能なため、忙しい方や遠方にお住いの方も気軽に参加可能。

映画『九龍ジェネリックロマンス』:
(C)眉月じゅん/集英社・「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会
2025年8月29日(金)公開
配給:バンダイナムコフィルムワークス

アニメ『九龍ジェネリックロマンス』:
(C)眉月じゅん/集英社・「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会

(マグミクス編集部)

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