NHKが仕掛けた架空の特撮『タローマン』が映画化 岡本太郎の芸術が画面上を大暴れ?
映画、プロ野球、洋酒……多彩な分野で活躍した巨人

岡本太郎のさまざまな作品や言葉から、藤井監督がインスパイアされたことで生まれた『タローマン』ですが、岡本太郎自身も特撮映画の制作に関わっています。大映映画『宇宙人東京に現わる』(1956年)で、岡本太郎は宇宙人「パイラ人」の奇抜なキャラクターデザインを手がけています。見た目はとてもシュールなパイラ人ですが、地球が滅亡の危機に陥ると救いの手を差し伸べてくれる、フレンドリーな宇宙人でした。
岡本太郎は、富裕層や知識人だけが芸術を楽しむことも嫌いました。JR渋谷駅と井の頭線渋谷駅を結ぶ連絡通路にある巨大な壁画「明日の神話」は、もともとは岡本太郎がメキシコで制作した作品です。今はなきプロ野球チーム「近鉄バファローズ」の猛牛マークも、岡本太郎が考えたものです。最下位に低迷していた「バファローズ」の千葉茂監督から直接頼まれたそうです。バッファローズの野球帽は、とてもオシャレでした。
「グラスの底に顔があってもいいじゃないか」と、岡本太郎はウイスキーのCMにも出演し、ウイスキーには岡本太郎がデザインしたグラスがセットで付いていました。1日の仕事を終えた人たちがお酒を楽しみながら、芸術に触れてほしいという想いが岡本太郎にはあったそうです。
常識に縛られることなく多彩な活躍を続けた芸術家・岡本太郎こそが、「べらぼうな巨人」だったと言えそうです。
大人気アニメと『タローマン』との関係性
岡本太郎の代表作「森の掟」や「太陽の塔」などをモチーフにした奇獣たちが登場する『タローマン』ですが、これらのシュールな奇獣たちは、1994年から1995年に放映されたSFアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(テレビ東京系)の「使徒」たちを思わせるものがあります。
庵野秀明監督ら『エヴァンゲリオン』の制作スタッフの証言がないので断言はできないものの、アニメ界の常識に捉われない庵野監督らも、何らかの形で岡本太郎の作品や生き方に影響を受けているのかもしれません。
藤井亮監督に「奇獣」と「使徒」はつながるものを感じると伝えたところ、「1970年代に『タローマン』は放送されていたという設定なので、『エヴァ』のスタッフも観ていたのかも、などと自由に妄想して楽しむこともできるんじゃないでしょうか」と笑って語ってくれました。ちなみに『タローマンヒストリア』に出演した樋口監督は、『ウルトラマン』(TBS系)でウルトラマンや怪獣をデザインした成田亨氏は「太陽の塔」の内部の造形に関わっていたことを番組内で語っています。アートと特撮は、お互いに影響を与え合う関係にあるようです。
1970年代に放映され、マニアックな人気を集めた(という設定の)『タローマン』を題材とした劇場版『大長編 タローマン 万博大爆発』は、昭和100年の未来を舞台に、さらに「でたらめ」で「べらぼう」な特撮ドラマとなっています。もちろん、サカナクションの山口さんも出演しています。
常識にとらわれ、周囲の視線を気にする現代人ほど、タローマンのでたらめぶりに解放感を覚えるのではないでしょうか。
●映画『大長編 タローマン 万博大爆発』は、2025年8月22日(金)より全国公開中です。
監督・脚本/藤井亮 音楽/林彰人
出演/タローマン、太陽の塔、地底の太陽、水差し男爵、縄文人、明日の神話/解説:山口一郎(サカナクション)
配給/アスミック・エース
(C)2025『大長編タローマン万博大爆発』製作委員会
※本文の一部を修正しました。(2025.8.27 11:54)
(長野辰次)





