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NHKが仕掛けた架空の特撮『タローマン』が映画化 岡本太郎の芸術が画面上を大暴れ?

NHK Eテレで放映された『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』が、劇場版となって帰ってきました。解説を務めた「サカナクション」の山口一郎さんも出演しています。タローマンや奇獣たちのアイデアの源泉となった芸術家・岡本太郎が残した伝説を振り返ります。

1970年代に放映されていた「幻の番組」?

「タローマン」の登場シーン。映画『大長編 タローマン 万博大爆発』より
「タローマン」の登場シーン。映画『大長編 タローマン 万博大爆発』より

 ロックバンド「サカナクション」の山口一郎さんが愛してやまない特撮ドラマがあることは、ご存知でしょうか。それは1970年代に放映された『タローマン』です。「でたらめな巨人」タローマンが「奇獣」と呼ばれる怪獣たちと戦うか、もしくは一緒になって街で暴れるというハチャメチャな作品です。

 山口さんが「周りには観ている友達がひとりもいなかった」と振り返る『タローマン』ですが、それもそのはずです。『タローマン』は1970年代にはTV放映はされていません。2022年7月に全10話が放映された『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』(NHK Eテレ)は、『タローマン』は1970年代に一部で熱狂的な人気があった特撮ドラマだった……という設定のフェイクドキュメンタリーだったのです。

 NHKでフェイクドキュメンタリー形式の番組が放映されたこと、山口さんが語る「タローマン」愛がリアリティーたっぷりだったこともあり、ネット上では大きな話題を呼びました。2022年12月には『日曜美術館』(NHK Eテレ)の司会でおなじみの井浦新さん、樋口真嗣監督らが出演した『タローマンヒストリア』(NHK総合)、2023年8月には30分番組『帰ってくれタローマン』(NHK総合)が放映されています。

 関連本として『タローマンなんだこれは入門』(小学館)などが出版され、DVD化もされた『タローマン』の人気は高く、ついに8月22日(金)から映画『大長編 タローマン 万博大爆発』が全国公開されることになったのです。

 タローマンのアイデアの源泉となった芸術家・岡本太郎のエピソードも含めて、『タローマン』の魅力を考察したいと思います。

岡本太郎の名言を散りばめた主題歌

 タローマンの必殺技に、「芸術は爆発だ!」があります。岡本太郎が残した名言ですが、言霊パワーあふれたこの言葉をタローマンが叫ぶと、恐ろしい奇獣も太刀打ちできません。

 主題歌「爆発だッ! タローマン」にある「うまくあるな きれいであるな ここちよくあるな」をはじめとする歌詞も、岡本太郎の言葉です。フルコーラスを聴くと、無性に元気が出てくる不思議な曲です。

 若くしてパリ留学を経験した岡本太郎は、テクニックで描かれた絵画を嫌いました。常識に縛られることも嫌い、1970年に開催された「大阪万博」では巨大なパブリックアート「太陽の塔」を造り、世界各国から集まった人たちを驚かせています。今回の劇場版は、「太陽の塔」が重要な鍵を握る展開となっています。

 シュールレアリズム星からやってきたタローマンを考えたのは、映像クリエイターの藤井亮監督です。これまでにも石田三成の功績を讃える「滋賀県CM」や、ガチャポンについてのフェイクドキュメンタリー映像「カプセルトイの歴史」など、ユニークなコンセプトの作品で注目を集めてきました。

 1970年代の特撮ドラマらしさを出すために、『タローマン』では完成映像を一度ビデオ化してエイジング処理をほどこし、キャストの声はあえてアフレコにするなど、藤井監督は非常に細かいこだわりを見せています。

【画像】「なんだこれは!」と言うしかない? これが映画『タローマン』のデタラメな場面です(7枚)

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長野辰次

フリーライター。映画、アニメ、小説、マンガなどのレビューや作家インタビューを中心に、「キネマ旬報」「映画秘宝」などに執筆。現在公開中の『八犬伝』(キノフィルムズ配給)の劇場パンフレットなどにもレビューを寄稿している。

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