朝ドラじゃ絶対ムリな「尻叩き」も 『ばけばけ』小泉八雲・セツの「子供の教育」過激エピソード 長男が死を覚悟した出来事とは
些細な嘘から衝撃事件に

たとえば、1900年11月に「司之介(演:岡部たかし)」のモデルであるセツの養父・稲垣金十郎が亡くなってしばらくした時期のこと、一雄は周囲を笑わせようとして、「お爺様がくたばった」と汚い言葉を使ってしまったそうです。するとセツは激怒し、一雄に「突進」してのしかかり、何度も彼を叩いたといいます。
また、1904年の春頃には、さらにセツが激昂した事件がありました。これは一雄が胃腸の調子の悪いハーンの代わりに、朝食のフライドエッグを3つ食べていい(普段はふたつ)と言われた際のことです。
一雄はこの時、たまたま家に来ていた元女中のおヨネ(松江時代から1900年までハーンたちに雇われていた)に嘘をつき、フライドエッグを4つ作ってもらって食べました。これ自体は些細な悪事ですが、その後にまさかの事態が待っていたそうです。
フライドエッグをいつもの倍も食べてお腹の調子が悪くなった一雄は、セツから本当に3つしか食べなかったのか問いただされます。おヨネは一雄の嘘に気付き、口裏を合わせてくれましたが、その後にお米のことが気の毒になった一雄は、正直に「本当は四ツです」と白状しました。
すると、セツは普段信頼している息子や、長年家族同然に面倒を見てきた元女中に嘘をつかれたことが許せなかったのか、かつてないほどに怒り狂いました。彼女は一雄を打ち倒して蹴りを入れ、髪や耳をつかんで引きずり回したといいます。
「フミ(演:池脇千鶴)」のモデルの養母・トミや、家にいた女中3人が止めに入っても、セツの怒りは収まりませんでした。一雄はセツに叩かれながら、子供心に「あんなにつねに可愛がってくれる母(ママ)が……これは確かに気が違っちゃったのだ。私は殺されてもいいからどうか母が気が狂ったのではありませんように……」と、念じていたことを振り返っています。
その後、女中たちに押さえつけられたセツは、書斎からやってきたハーンに水を飲ませてもらい、ようやく落ち着いてから寝室に連れていかれました。一雄はその後、父から軽めのスパンクを受けたそうです。
一雄の著書『父「八雲」を憶う』や、『父小泉八雲』(1950年)では、このように『ばけばけ』ではとても描けない出来事も赤裸々に語られています。1899年に生まれた三男・清や、1903年生まれの長女・寿々子のこと、ハーンが亡くなった1904年9月26日前後のことも書かれており、『ばけばけ』が終わってから読んでみると、より興味深く感じるかもしれません。
※高石あかりさんの「高」は「はしごだか」
参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(潮出版社)、『父「八雲」を憶う』(千歳出版)、『父小泉八雲』(小山書店)
(マグミクス編集部)

