「SDガンダム vsワタル」 低等身キャラが競い合った、80年代玩具業界の「熱い攻防」
競い合うことで玩具業界も発展?

『ワタル』はもともと『聖戦士ダンバイン』のような異世界ものとして企画されました。その後、ビックリマンのように「正方形に収まる形」という発想からデザインされたそうです。
こうして低等身キャラとして生まれた『ワタル』がヒットした要因はいくつかありました。しかし、あえて筆者が強調したいのは、組み立て式キット「プラクション」シリーズの存在です。
プラクションは380円という低価格帯から販売され、「塗装不要」「接着剤不要」「ワンタッチアクションギミック」という特徴がありました。なによりもラインナップが豊富で、ほぼ毎月複数の商品が店頭に並びます。
当時の小学生男児にはお小遣いで買える価格という点も魅力で、発売から数か月で玩具屋の主力人気商品となりました。その勢いは先行して人気だったSDガンダムにも大きな影響を与えます。
SDガンダムは1987年5月から「BB戦士」と呼ばれるブランドのプラモを販売していました。もともとはガンダマンやザックンなど、オリジナルキャラクターとして展開していましたが、1988年5月から映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の公開にあわせて登場MSの名前で販売するようになります。
そして1988年11月に「元祖SDガンダム」という新シリーズがリリースされました。このシリーズも塗装不要、接着剤不要、ワンタッチアクションギミックを特徴としており、明らかにプラクションへの対抗馬として誕生しています。
互いに切磋琢磨することで低等身キャラブームは長きにわたって続き、やがて現在のようにひとつのジャンルとして確立することになりました。複数の勢力が競い合うことで、業界全体を押し上げ、結果的に発展したケースといえるでしょう。
「SDガンダム」も「ビックリマン」も「ワタル」も、いくつもの世代に通じるようになったのは互いに競い合った結果ということかもしれません。
(加々美利治)


