古参が「ガンダム50周年ムービー」に覚えた違和感? 「あの異色作」を当時どう見たか
アレもコレも一気に吹き飛ばした「王者の風」

そのような空気が一気に吹き飛んだとされるのが、第12話「その名は東方不敗!破壊された新宿」以降の展開です。
ドモンの武術の師である「東方不敗マスター・アジア」の登場は、作品世界を一変させます。モビルスーツを素手で引き裂き、布一本で銃弾を受け止める超人描写は、『ジャイアントロボ』で見せた“ロボットアニメというジャンルそのものの突破”を再び感じさせるものでした。
さらに東方不敗の登場によって、作品は「倒すべき敵」と「葛藤の対象」を同時に獲得します。悪魔の兵器「デビルガンダム」と、人間を蝕む「DG細胞」の恐怖、そして最も敬愛する師との思想的決裂や骨肉の争いが、作品を濃密な愛憎劇へと急加速させていったのです。
「人間がロボットを倒す」一線を超えたことで、作品は圧倒的なテンションを爆発させていきます。香港アクション映画へのオマージュや広東語による挿入歌の採用など、作品全体が“今川カラー”へと塗り替えられていったのです。
その迫力によって、従来の「ガンダム」ファンからも「これもアリ」と受け入れられ、後の「ガンダム」シリーズ全体の幅や自由度も大きく広がっていったといえるでしょう。
そうした『Gガンダム』の大成功は、序盤の制約で今川監督のストレスが極限まで蓄積され、“爆発力”が最大限に高まった結果なのかもしれません。
(多根清史)



