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短い歴史だった「ニンテンドウパワー」 背後にあった中古カセット問題

1997年9月30日、フラッシュメモリカセットにスーパーファミコンやゲームボーイのソフトを書き込める「ニンテンドウパワー」のサービスが開始されました。ローソンのマルチメディア端末機「Loppi」のサービスのひとつとして展開されていました。

一度だけ利用した「ニンテンドウパワー」

ゲームボーイ用ソフトが書き換えられる「GBメモリカートリッジ」
ゲームボーイ用ソフトが書き換えられる「GBメモリカートリッジ」

 1997年9月30日は、ローソンで「ニンテンドウパワー」のサービスが開始された日です。ニンテンドウパワーはフラッシュメモリカセット(以下、SFメモリカセット)にスーパーファミコンやゲームボーイのタイトルを書き込む仕組みで、マルチメディア端末機「Loppi(ロッピー)」のサービスのひとつとして展開されていました。当初は旧作のみだったタイトルも新作が発売されるなど健闘しましたが、2002年にはローソンでのサービスが終了。2007年には任天堂での書き込みサービスも終了し、その短い歴史を終えました。サービス当初は「プレイステーション」や「セガサターン」、アーケードに夢中で気にも留めず、最後の最後、一度だけ利用した経験を持つライターの早川清一朗さんが当時を回想します。

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 ニンテンドウパワーのサービスが始まった当初、筆者は見向きもしませんでした。1997年はプレイステーションでゲームの歴史を塗り替えた名作『ファイナルファンタジーVII』が発売された年で、1994年から続いていた次世代機戦争に、ほぼ決着がついた年だったのです。しかもこの時期スーパーファミコンのカセットは極端な値崩れを起こしており、遊びたければそちらを買えば済むこと。わざわざ3980円のSFメモリカセットを買う必要性を感じなかったのです。ただ、スーパーファミコンのソフトのなかにはデータが飛びやすいものがあったので、そういったタイトルをプレイする際にはニンテンドウパワーが有利だったようです。

 しかし、1996年には「NINTENDO64」を投入して遅ればせながら次世代機戦争に参戦していた任天堂が、なぜニンテンドウパワーを開始したのか。その大きな理由となっていたのが、まさに中古のカセット問題だったのです。

 ファミコンやスーパーファミコンが主流だった時代、飽きたカセットは中古品を扱うファミコンショップに売るのが当たり前でした。

 大きく流れが変わったのは1994年。ソニー・コンピュータエンタテイメント(現:ソニー・インタラクティブエンタテインメント)がプレイステーションを発売する際に「中古品売買禁止」を強制したことから中古問題は急展開を迎えます。中古品を扱うフランチャイズや個人店舗とゲームメーカーとの間で対立が始まり、徐々にエスカレート。中古品を扱う店には新作を卸さないなどの圧力が公然と行われ、1998年には「違法中古ゲームソフト撲滅キャンペーン」が開始されるなど、中古ゲームソフトの扱いは非常にセンシティブな問題となっていたのです。

【画像】「ニンテンドウパワー」の人気作

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