コンボイが死んだ!? 視聴者はポカーン…『トランスフォーマー』主役交代の真相
新シリーズ開始早々、視聴者は「置いてけぼり」に

この「コンボイが死んだ」というのは、トランスフォーマーが新シリーズに入る前の、一大キャンペーンでした。主役交代をよりセンセーショナルにアピールするため、そして、新主人公であるロディマスコンボイの知名度を上げるために企画されたものだったのです。
そんなわけで、『トランスフォーマー』は新シリーズ『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010』(以下2010)へとバトンタッチします。
しかし、今度は『2010』を見てポカーンとする人が続出します。
コンボイが死んだ理由も明かされないまま話が進んでいくのです。さらに、メガトロンはどうなったの? ガルバトロンは要塞参謀じゃないの? ユニクロンって誰? クインテッサ星人って何者よ? ……といった疑問が次々わき出てきます。
普通なら旧シリーズが終わる時、または新シリーズが始まる時に物語があるか、説明くらいするものなのですが、一切そういった配慮はありません。
そのまま、視聴者は置いてきぼりで物語は進みます。早い段階で生き返ったコンボイが出てくるエピソードがあるのですが、普通のアニメなら回想シーンが入って謎が明かされると思いきや、まったくそんなこともなく、コンボイは2度目の最期を迎えます。
この不親切な展開には、キチンとした理由がありました。本来ならば、『トランスフォーマー』と『2010』の間に入るはずの劇場版『トランスフォーマー ザ・ムービー』(以下ザ・ムービー)で、全て語られていたのです。
しかし、諸般の事情から『ザ・ムービー』の上映は日本では延期となり、我々日本人はコンボイが死んだ理由を知らないまま『2010』へと突入したというわけです。現在のようにネットで外国の事情をダイレクトに知ることはできず、当時は噂やデマが混じった情報を自分で精査するしかなかったのです。
そんななか、一部のファンの間では、誰かが入手できた『ザ・ムービー』のビデオをダビングして拡散するといったことが行われていました。同作は後にソフト化されていますが、その度肝を抜くような映像と音楽に魅了されたのは今でも覚えています。個人的には、今でも劇場版ロボットアニメの最高峰と思っています。
まだネット社会が確立する前だからこそ起こった一大騒動。令和となった現代ではあり得ない出来事でしょうね。
(加々美利治)