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「製作委員会」のメリット・デメリット 『エヴァ』や『鬼滅』が目指す新たな形とは

1995年から放送されたTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』では製作委員会方式という出資形式が脚光を浴び、その後多くの作品で同様の形式がとられるようになりました。しかし製作委員会方式はメリットもありますがデメリットも大きく、近年では新たな出資形式が模索されています。

製作委員会のメリットとは?

『鬼滅の刃』クレジットには3社の名前が連なっている (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
『鬼滅の刃』クレジットには3社の名前が連なっている (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 アニメや映画を見ているとよく目にするのが「XX委員会」というクレジットです。これは製作委員会という、その作品を作るために出資したスポンサー企業や関連企業のグループ名を指します。作品によっては、例えばTVアニメ『けいおん!』では「桜高軽音部」という名前になっており、必ずしも「委員会」という文字が付くわけではありません。

 映画では1980年代には見られた方式であり、90年代にはアニメでも徐々に見られるようなっていたのですが、1995年に放送されたTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(以下、エヴァ)のヒットにより大きな注目を集め、その後に製作されたアニメでは多くの作品が製作委員会方式を採用するようになりました。

 製作委員会方式のメリットはまず、多くの企業が参加し資金を出し合うため、負荷の分散を行える点です。90年代以前のTVアニメや特撮番組は主にTV局、広告代理店、スポンサーと制作会社での共同企画で作られていましたが、大口のスポンサーの撤退や倒産により番組が打ち切りになることがしばしばありました。

 TVアニメで言えば『蒼き流星SPTレイズナー』は三洋電機の撤退が打ち切りの大きな決め手になっていますし、特撮であれば『小さなスーパーマン ガンバロン』はブルマァクの倒産により資金難に陥って子役中心の構成となり、最終的には打ち切られています。近年、突然の打ち切りがほぼ見られなくなったのは、製作委員会方式が大きく寄与していると言えるでしょう。

 第二に、製作委員会に多種多様な企業が参加することにより、メディアミックスや広告宣伝がやりやすくなります。出版社が参加していれば小説やマンガでの展開、レコード会社が参加していればキャラクターソングやライブ、ゲーム会社が参加していれば当然ゲームを製作販売するなど、多種多様な収益源を作り上げることができるのです。どこかがダメでもどれかでカバーできればプロジェクト全体としては成功に持ち込める可能性があがるため、アニメの企画を通しやすくなっており、製作本数の増加につながっています。

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