人気再燃、『ウルトラマンティガ』のラスボス「ガタノゾーア」…設定が絶妙すぎる?
『ウルトラマンティガ』放送から25年目となりますが、同作のラスボス「ガタノゾーア」の人気が再燃しています。名だたる昭和怪獣たちを尻目に、熱狂的なファンを獲得する稀有な存在「ガタノゾーア」は、なぜ怪獣界屈指の人気を集めているのでしょうか。
「ガタノゾーア」が視聴者を惹きつける理由

1996年に放送された『ウルトラマンティガ』は、今年2021年で25周年を迎えますが、先日、Twitterで「ガタノゾーア」という言葉がトレンド入りしました。「ガタノゾーア」とは、『ウルトラマンティガ』のラスボス怪獣のことです。現在放送中の『ウルトラマン クロニクルZ ヒーローオデッセイ』第4話「君の待つ明日へ」(1月30日放送)で、このガタノゾーアが登場し、再び注目が集まりました。この日は、朝から「ガタノゾーア待機」する人が多く、大きな盛り上がを見せた1日でした。
『ウルトラマンティガ』自体の人気もさることながら、ガタノゾーアはウルトラ怪獣界でも屈指の人気を誇っています。とあるアンケートでは、ゴモラやバルタン星人など、名だたる昭和怪獣に混じって「好きな怪獣ランキング」の7位にランクイン。怪獣を“美少女キャラ化”したアニメでも、唯一の平成怪獣としてラインナップに加わるなど、根強い支持を集めています。
ウルトラシリーズには魅力的な怪獣がたくさん登場していますが、ガタノゾーアの根強い人気の理由を考えてみると、 「ちょうど良さ」という特徴が浮かび上がってきます。
まず挙げられるのが、見た目(デザイン)です。SNSでも、巨大なアンモナイトのような体と、目が口の下に位置しているという不気味なデザインに魅了される人が多いようです。
ウルトラシリーズのラスボスは、ゼットンやパンドンに始まり、平成以降もカオスダークネスやエンペラ星人、ダークルギエルなど人型に近く、スタイリッシュなデザインの敵が最終回に待ち構えている……という傾向があります。なかにはグランスフィアやゾグ(第二形態)など、巨大すぎる怪獣もいましたが、ガタノゾーアはちょうど良いボリューム感です。
というのも、『ウルトラマンティガ』の最終回は海上決戦のため、ガタノゾーアの全体像は見えず、視聴者には想像する楽しみが与えられています。劇中ではティガと対峙すると1.5倍ほどの大きさとなっていました。しかし、このどっしりと構える要塞のような大きさが、リアルな絶望感とさらなる不気味さを演出しているのではないでしょうか。
そして、怪獣界屈指の能力者であることも人気の理由といえるでしょう。ガタノゾーアは体格だけでなく、その能力もチート級。ティガの攻撃は一切通じず、口から放つ闇「シャドウミスト」は回避不可、ついにはティガを石化させる光線を放ち、ヒーローが為す術もなくやられてしまう最終回は、ゼットンにも通じる強烈な印象を与えました。
その後、ティガは世界中の子供たちの「光」によって復活して勝利するわけですが、この勧善懲悪のストーリーも、悪役を輝かせるポイントです。ガタノゾーアはラスト2話だけの登場ですが、序盤では最大限暴れまくり、ヒーローが最高潮の時にはちゃんと倒される……悪役の鑑(かがみ)とも言える存在です。
また、短期間の登場のおかげで、彼の経歴は多くは語られず謎のまま退場します。ここにも、視聴者があれこれ想像するワクワクが残され、記憶に残る存在となっています。
そして現実的な話になりますが、リアルタイムで見ていた世代が大人になり、ネットの主力世代になっていることから、ガタノゾーア人気がさらに表立ってきた側面もあるでしょう。ともあれ、ガタノゾーアは今回の再登場で当時からのファンと、子供と一緒に視聴する新たな層を味方に再ブレイクを果たしました。今後、ガタノゾーアと同じような現象を巻き起こす怪獣が登場するか、注目したいところです。
(椎名治仁)
