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カミーユの精神崩壊の原因だった? 「Zガンダム」の画期的な性能が招いた悲劇

Zガンダムは、華麗なる変形機構でファンに根強い人気があります。アムロが乗りたかったほどの高性能機でしたが、その尋常ならざるシステムがカミーユに悲劇をもたらしたのです。

Zガンダムが「変形するMS」になった理由

「機動戦士Zガンダム 1」DVD(バンダイビジュアル)
「機動戦士Zガンダム 1」DVD(バンダイビジュアル)

『機動戦士Zガンダム』の主役MS(モビルスーツ)である「MSZ-006 Zガンダム」は、初めてガンダムシリーズに「変形」を取り入れただけでなく、初代である「RX-78 ガンダム」と異なるデザインを多く取り入れたことで、後のガンダム系デザインの方向性を示したMSです。そのスタイリッシュな細面のフェイスを「Z顔」と呼ぶファンも多くいました。カラーリングも青が多い、ガンダムには珍しいバランスのトリコロールです。

 もともと、変形は『超時空要塞マクロス』のバルキリーがオモチャとして大ヒットしたことで、当時の玩具メーカーが注目していたギミックでした。しかし、スポンサーのバンダイとしてはガンダムシリーズの主力商品はプラモデルと考えていたので、変形は技術面や金型コストが高騰するなどの理由から否定的な立場だったそうです。

 この意見に異を唱えたのが富野由悠季監督でした。富野監督は当時まだ国内では放送されていなかった『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』を見て、そのスムーズな変形に衝撃を受けたそうです。そこで、そのエッセンスを組み込もうと、主役MSのZガンダムを変形させようと考えました。

 そのために本作では可変MSという形で、多くの変形する機体が登場したのかもしれません。後に「トランスフォーマー」がヒットしたことで、この富野監督の先見の明が実証されたわけです。

 Zガンダムのデザインは、主役MSということもあって難航しました。大河原邦男さん、永野護さん、藤田一己さんなど、複数のメカデザイナーが数えきれないラフデザインを描いたそうです。最終的にいくつかのデザインをメインメカデザイナーだった藤田さんがまとめ上げて完成しました。その作業は予想以上に時間がかかったそうで、本作最初のオープニングの作画に間に合わず、永野さんのラフ案を使ってシルエットだけの登場になったそうです。

 しかし、その生みの苦労が報われ、Zガンダムは今でも人気の高いMSのひとつとしてファンから認知されることとなりました。

 Zガンダムといえば、TV放送時はガンダムMk-Ⅱとリック・ディアスのデータに独自の装甲を加えて主人公のカミーユ・ビダンが設計した……という設定だったと思います。ところが、現在ではカミーユのメモ程度の設計図がヒントになった、という設定に変更されました。

 これはガンダムシリーズでよくある、新しく生まれた設定の帳尻合わせによる変更でしょう。この設定で、同じく自分でMSを設計するパプテマス・シロッコとの対比があったと思っていただけに残念です。

【画像】精神に及ぶ戦いを繰り広げた、『Zガンダム』の高性能MSたち(7枚)

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