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『ガラスの仮面』だけじゃない、美内すずえホラーの世界。70年代少女は震え上がった?

名作マンガ『ガラスの仮面』があまりにも有名な美内すずえ先生ですが、実は、1970年代にはホラーマンガの印象の方が強く、少女たちを恐怖に震え上がらせていました。トラウマ級とも言われる美内ホラー作品の魅力をご紹介します。

実は、少女ホラーのエキスパート? 美内すずえ先生

「美内すずえ短編集(5)黒百合の系図 電子書籍版」(イーブック イニシアティブ ジャパン)
「美内すずえ短編集(5)黒百合の系図 電子書籍版」(イーブック イニシアティブ ジャパン)

 漫画家の美内すずえ先生と言えば、誰もがまず思い浮かべるのは『ガラスの仮面』でしょう。1976年の連載開始以来、45年たった今も感動の成長物語が続いている超大作で、アニメ化やドラマ化されて人気に拍車がかかりました。2020年1月には作中劇である「紅天女」がオペラ上演されるなど、現在は休載中にもかかわらず愛され続けている作品です。

 しかし、美内マンガの魅力は『ガラスの仮面』だけではありません。70年代初期に熱心なマンガ読者だった昭和少女たちにとっては、“美しくも怖いオカルトホラー”こそが、美内すずえ先生の真骨頂と言っても過言ではないはずです。読んだ日には夜中にひとりでトイレにいけなくなることがわかっているのに、それでも読む手がとまらない……少女たちを震え上がらせた美内ホラーの凄みとは、どんなところにあったのでしょうか?

●リアリティのある恐怖

 美内すずえ先生自身、子供の頃から数多くの不思議な体験をしてきたそうです。卒業旅行先の旅館のトイレで透明な女性を見たり、浴室で髪を洗っているときに人の気配がしたのに脱衣所には誰もいなかったり……。そんな体験から、身近なものこそ一番怖いという“怖がらせるツボ”を知っており、多くの作品で主人公は学校に通う女の子で、学園生活もたびたび舞台にしていました。

 なかでも、『白い影法師』(1975年)の恐ろしさはトラウマ級と言われるほどでした。当時流行っていたコックリさんなども盛り込まれていたため、読者の少女たちは主人公に忍び寄る恐怖を、自分の身に迫ってくるもののように感じたのです。トラウマ中のトラウマと言われる「机カット」は、あまりの怖さにページを糊づけして開けなくしたファンもいたのだとか。同作で描かれる「恐怖」の数々は……ぜひ、ご自分の目でお確かめください。

【画像】美少女が登場するも、トラウマ級のコワさ! 美内すずえ先生のホラー作品(5枚)

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