『鬼滅の刃』5月19日・栗花落カナヲの誕生日 戦いのあとの生涯に、思いを馳せる
5月19日は『鬼滅の刃』に登場した花の呼吸の剣士、栗花落(つゆり)カナヲの誕生日です。主人公・竈門炭治郎と同日に選別に挑み、傷ひとつなく突破した才能ある剣士です。実は幼少期に虐待を受けて育っており、ひょんなことから胡蝶カナエ・しのぶ姉妹に引き取られた日が彼女の誕生日となりました。
「全部どうでもいいから 自分で決められないの」
5月19日は『鬼滅の刃』に登場した、栗花落カナヲ(つゆり・かなを/CV:上田麗奈)の誕生日です。竈門炭治郎たちと共に選別に挑み生き残った5人の同期のひとりであり、唯一無傷で切り抜けた実力者でもあります。蟲柱・胡蝶しのぶと姉のカナエによって育てられ、花の呼吸を見よう見まねで習得するほどの高いセンスを持ち、実は選別も勝手に参加して生還しています。帰った後に、しのぶにかなり怒られているのではないでしょうか。
次の登場となった「那田蜘蛛山編」では、負傷した隊士の救護と事後処理部隊の隠の護衛として参加。既に鬼滅隊のなかでも実力者とみなされていることが見て取れます。
その後は負傷した炭治郎・吾妻善逸・嘴平伊之助の機能回復訓練に付き合いますが、善逸と伊之助がやる気を失うほどの圧倒的な反射神経と運動能力を見せつけます。この時点で柱になるまでの基本とされる「全集中・常中」の呼吸を身につけており、硬く加工された特殊な巨大ヒョウタンを破裂させるほどの肺活量を持ち、その話を聞いた炭治郎を驚かせています。
しかし話が進むにつれ、鬼滅隊隊士の例にもれず、カナヲも凄惨な過去を持っていることが明かされて行きます。カナヲは親から日常的に暴力が振るわれる家庭に生まれており、きょうだいたちのなかには、暴力を受けてそのまま動かなくなってしまった子が存在するほどひどい状況に置かれていました。
カナヲ自身は飢えや痛みから逃れるために心を閉ざし、「ある日ぷつんと音がして なにもつらくなくなった」状態となり、自分の頭で考える力をなくしてしまいます。そして人買いに売られ、綱に繋がれて歩いていたところをたまたま胡蝶カナエ・しのぶ姉妹が見つけて保護し、そのまま引き取られました。この3人が出会った5月19日が、カナヲというひとりの人間の誕生日となったのです。しかし幼少時の経験はカナヲの心に強い影を落としており、自分でなにかを決め、判断することができなくなってしまいます。
また、カナヲには苗字もなかったので、後にいくつかの候補から「栗花落」を選択し、自分の苗字としています。このとき蝶屋敷で共に暮らしていた神崎アオイはカナヲを妹にしたいと思い「神崎」姓をしきりに勧めていたという微笑ましいエピソードが単行本19巻の「大正コソコソ噂話」で語られています。
※これ以降、まだアニメ化されていないシーンの記載があります。原作マンガを未読の方はご注意ください。
炭治郎との出会いがカナヲを変えた
めったなことでは感情の動きを見せないカナヲ。そんな彼女にとって転機となったのが、炭治郎との出会いでした。機能回復訓練を終えて炭治郎が立ち去る直前、にこやかに笑っていたカナヲは、表・裏と書かれた銅貨を取り出し、コイン占いで炭治郎と話すことを決めます。その様子を見た炭治郎は、コインを借りると「表が出たらカナヲは心のままに生きる!」と叫んでコインを空に投げ上げ、見事に表を出したのです。炭治郎の励ましを受けたカナヲは、ここから少しずつ変化を見せていきます。音柱・宇髄天元にアオイが連れ去られそうになった時は、天元の服をつかんで抵抗し「嫌だ」という気持ちを行動で表現してみせました。
無限城の戦いでは眼前で姉と慕うしのぶを殺され、怒りを露わに上弦の弐・童磨(どうま)と戦うなかで逆に挑発して相手を激昂させるなど、心をコントロールして戦いを有利に進めようとするクレバーな戦術を駆使しています。途中参戦した伊之助の助力、そしてしのぶの身を捨てた献身もあり、最後は「花の呼吸・終ノ型 彼岸朱眼(ひがんしゅがん)」で血鬼術を見切り、童磨の頸を落とし勝利したカナヲの目に光る涙は、彼女の心が蘇ったことの証だったのではないでしょうか。
最終決戦では無惨の前に重傷を負わされてしまいますが、「鬼の王」との戦いでは決定的な働きを見せて大団円への糸筋を作り上げたカナヲ。戦いを終えた後は、しのぶ亡き後の蝶屋敷の主となり、蛇柱・伊黒小芭内から蛇の鏑丸(かぶらまる)を譲り受けて、医者として働いています。最終話ではカナヲはしっかりと血を残したことが描写されており、子孫が顔を見せています。
絶望的な境遇に生まれ、大事な人を次々と失いながらも自身は生き残り、幸せに暮らした……かどうかは分かりませんが、きっとその生涯は幸せだったと信じたい。そう思わせてくれるのがカナヲと言うキャラクターであるように思えます。
(早川清一朗)