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「金ロー」で『風立ちぬ』放映 夢を共有する宮崎駿と庵野秀明の関係性に注目!

劇場アニメ『風立ちぬ』は、宮崎駿監督が自身のアニメーション人生を振り返るかのような作品となっています。そして主人公となる二郎を演じたのは、宮崎監督とは「師弟関係」にある庵野秀明監督です。自分の夢を実現させることに全情熱を注ぐという、クリエイター同士の強い結びつきも感じさせる作品です。

大きな「矛盾」を抱えた宮崎駿監督

『風立ちぬ』の主人公・堀越二郎は、飛行機にかける「夢」をまっすぐに追い続けた
『風立ちぬ』の主人公・堀越二郎は、飛行機にかける「夢」をまっすぐに追い続けた

 松任谷由実さんが荒井由実時代に歌った「ひこうき雲」がエンディングに流れる劇場アニメ『風立ちぬ』(2013年)は、興収120.2億円を記録した宮崎駿監督の大ヒット作です。零戦の設計者として知られる堀越二郎の生涯と、堀辰雄の小説『風立ちぬ』『菜穂子』などをモチーフにしていますが、アニメーション制作に尋常ならぬ情熱を注ぐ宮崎駿監督自身の自伝色の強い作品にもなっています。

 主人公・二郎は美しい飛行機を作ることを夢見ますが、軍国化が進む社会情勢によって、その夢は戦闘機の開発として実現することになります。自分の夢を叶えるために多くの命が失われることに、二郎は苦悩します。

 宮崎駿監督も反戦を唱える一方、戦闘機や戦車といったミリタリーものに惹かれてしまうという「矛盾」を抱えています。ひとりのアニメーション監督が抱える「矛盾」をテーマにし、メジャー作品として大ヒットさせてしまうところが、宮崎駿監督、そしてスタジオジブリのすごさだと言えるでしょう。

 宮崎駿監督の分身である二郎を、大人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督が演じたことも大きな話題となりました。2021年8月27日(金)の21:00から23:34まで、「金曜ロードショー」(日本テレビ系)の枠でノーカット放映される『風立ちぬ』の見どころを紹介します。

難航した二郎役のキャスティング

 スタジオジブリに集まった手練れのアニメーターたちが、宮崎駿監督のもと、全総力を結集させた大作アニメとして『風立ちぬ』は完成しました。少年時代の二郎が見る夢の世界で、イタリアの航空技術者・カプローニが開発した大型飛行艇が空を舞うシーンは、いかにも宮崎駿ワールドらしいファンタジックさにあふれています。

 青年になった二郎が、ヒロイン・菜穂子と出会う関東大震災シーンの迫力には息を呑みます。地響きが街を襲い、群衆が逃げ惑うパニックシーンの描写と演出は、スタジオジブリの底力を感じさせます。

 その一方、難航したのが青年期の二郎を誰に演じさせるかという問題でした。スタジオジブリでは過去に『となりのトトロ』(1988年)ではコピーライターの糸井重里氏、『耳をすませば』(1995年)ではノンフィクション作家の立花隆氏を声優として起用していますが、今回は主役です。鈴木敏夫プロデューサーから、「庵野秀明」の名前が候補に挙がります。

 声優としてのキャリアはほぼなかった庵野監督ですが、鈴木プロデューサーらに呼び出され、二郎の台詞を読み上げると、これが役のイメージとぴったりでした。マイクテストの結果、二郎役は庵野監督に決定。ドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀スペシャル 宮崎駿の仕事』(NHK総合)は、宮崎駿監督が「オレはすごくうれしいよ」「オレ、(二郎の上司の)黒川さんをやりたくなっちゃったよ」と、スタッフに満面の笑みで語っている様子を伝えています。

【画像】『風立ちぬ』堀越二郎が追いかけた飛行機の「夢」(5枚)

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