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『ワンピース』全巻持っている人って? 調査してみると…意外な「不安」の声

『ONE PIECE』がついに100巻に到達しました。連載開始からコツコツと単行本を集めている人は一体、どんな人たちなのでしょうか。20年以上、『ONE PIECE』と歩んできたファンにお話をうかがいました。

小学生から大人になって…『ONE PIECE』100巻と歩んできた人生

『ONE PIECE』第99巻(著:尾田栄一郎/集英社)
『ONE PIECE』第99巻(著:尾田栄一郎/集英社)

 1997年の連載開始より約四半世紀。とうとう『ONE PIECE(ワンピース)』(著:尾田栄一郎)が100巻を突破しました。

『ONE PIECE』の単行本を購入し続けている人は、一体どんな方々なのでしょうか。「国民的マンガなのだから普通の人に決まっているだろう」と思われるかもしれません。確かに累計発行部数は4億9千万部を突破。まさに地球規模で人気のある本作ですが、20年以上ひとつの物語を「単行本」でも追い続けるにはなかなかの根気がいるはず。例えば試しにSNSで『ONE PIECE』を全巻持っている人を簡単ながら調べてみると……。

「自分の誕生日に『ONE PIECE』全部大人買いしてしまった」
「友達の再就職祝いにワンピ全巻買ってあげた」

 ……と、経済的な余裕からの「大人買い」した人が目立つようです。ということで本稿では今や希少に思える、コツコツと100巻まで集め続けてきた方に直接、話をうかがってきました。

●「『ONE PIECE』を買う=自分の一部」 (30代男性/IT企業)

「小学校の頃は周囲全員が『ONE PIECE』の話をしていたので『ONE PIECE』オタクとしての自負心も手伝って、カルトクイズなどを出しあっていました」

 まず話を聞いたのはIT企業に勤める30代男性。小学4年生の時に『ONE PIECE』にハマり(当時既刊10巻)。以降、せっせと単行本を買い集めてきて早20年。一時期はセリフを言えば何巻のどこのセリフかまで当てられるほどの『ONE PIEC』オタクだったそうです。成長するにつれ、『ONE PIECE』との向き合い方に何か変化などはあったのでしょうか。

「就職して以降、『ONE PIECE』の話をできる人が少なくなりました。また小学生の頃は単行本1巻を最低でも20週は読み込んでいましたが、忙しさもあり今は読み込めていません。ただし『ONE PIECE』好きという自覚がアイデンティティの重要な部分をしめているので、これからも買い続けるし、見届けます。むしろ連載終了したあとの自分が不安です」

 のっけからマンガ好きなら共感必至の内容でした。自分の人生の一部になるほどのめり込めるマンガがあることは確かに幸せですが、最後にあるように「連載終了後の喪失感」を考えてしまうと……人生の機微を感じます。

●「マンガは増えるものだから覚悟していた」(30代女性/Webディレクター)

 次にお話を聞いた女性もまた小学生の頃からコツコツと100巻まで集め続けてきました。『ONE PIECE』との向き合い方の変化について尋ねてみることに。

「アラバスタ編あたりから『これは長くなるぞ……』という予感はしていましたが、まさかこれほどまでに長く続くとは。とはいえ、マンガは増えるものですし、集め始めたときから覚悟はできていました」

『ONE PIECE』愛あふれる言葉を頂戴しました。確かに、マンガというものは気付けば増えているもの。あとはそれを受け入れる覚悟があるかどうか……。

 ということで今度は逆に『ONE PIECE』は大好きだけど単行本は途中で買うのをやめてしまった人にもお話をうかがってみました。一体、その差はどこで生まれるのでしょう。

●「他のマンガにうつつを抜かしてしまった……」(30代女性/会社員)

「40巻くらいまで集めていたのですが、気付けば他のアニメやマンガにうつつを抜かし……でもちゃんと連載は追っています。すみません。完結したら全巻そろえます」

 なぜか気まずそうに語ってくれたこちらの女性。そもそも40巻でも相当のはずが、こと『ONE PIECE』だとハンパに思えてしまうのが本作のすごいところ。聞くところ、集めだしたのは社会人以降だったとか。前述のおふた方が小学生から集めていたことを鑑みると「単行本」への熱量は好対照です。

●「連載に追いついたので」(30代男性/総合メーカー)

 なかには80巻までそろえてやめてしまった人もいました。正直そこまで集めてなぜ? と思ってしまいましたが、この男性もまた社会人になって集め出したくちであり、80巻を購入したあたりで連載に追いつき、以降は「普通に連載を追っている」とのことです。納得しかありません。改めて『ONE PIECE』の需要のされ方の多様性を感じました。

『ONE PIECE』は終盤に差し掛かっていることが明かされています。尾田先生は読者を「いつか去っていく人達」と自分に言い聞かせ続けてきたと言います。しかし今回ヒアリングした全てが、単行本を買い続けているかどうかの差こそあれど全員が小学生からの『ONE PIECE』ファンであり、決して「去っていく人たち」ではありませんでした。なぜでしょう。それは、『ONE PIECE』が四半世紀ずっと面白いから。これに尽きるはずです。

(片野)

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