ガンダム主人公を成長させたのは「砂漠×おじさん」? 何がアムロたちに刺さったのか
「ガンダム」シリーズでは、若い主人公が成長していく姿も見どころのひとつ。そのきっかけとなったキャラクターやシチュエーションを振り返ると、いくつかの特徴が浮かび上がります。ガンダム主人公の成長をうながしたランバ・ラル、バルトフェルド、ジンネマン……3人に共通点とは?
主人公に道を示したおじさんたち

『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイをはじめとして、「ガンダム」シリーズでは若い主人公が成長していく姿が何度も描かれてきました。成長のきっかけは人それぞれですが、いくつかの作品には共通点も見られます。それが「砂漠+おじさん+食事」です。
主人公が普段生活している船から離れ、砂漠で食事をとろうとする場面。その対面には、敵対する軍に所属しているはずのおじさんの姿がありました。主人公たちはどう成長したのか、3人のおじさんに注目して紹介します。
元祖砂漠のおじさんといえば、『機動戦士ガンダム』に登場するジオン軍の士官、ランバ・ラル。第19話「ランバ・ラル特攻!」では、ホワイトベースから脱走していた主人公のアムロ・レイと砂漠の食堂で遭遇します。
ランバ・ラルは食事をおごろうと提案しますが、アムロはその申し出を辞退。毅然(きぜん)とした物言いと度胸が気に入ったと、ランバ・ラルはアムロを評価していました。その後アムロが地球連邦軍の関係者だと気づいたランバ・ラル。しかしあえて見逃し、「戦場で会ったらこうはいかんぞ」とアムロを激励して送り出しました。
その言葉通り、すぐに戦場で対峙したアムロとランバ・ラル。モビルスーツの性能が勝っていたため辛勝できたアムロですが、「あの人に勝ちたい……!」と、腕を磨くことを決意しました。食堂で人間性を評価されていたからこそ、パイロットとしても認められたいと思ったのかもしれません。
次に「砂漠の虎」の異名を持つアンドリュー・バルトフェルド。『機動戦士ガンダムSEED』に登場した、ザフト軍アフリカ戦線の指揮官です。主人公のキラ・ヤマトは民間人として戦争に巻き込まれ、やむを得ず地球連合軍のパイロットになった人物。度重なる戦闘で精神をすり減らしていたとき、砂漠の町バナディーヤでバルトフェルドと出会いました。
PHASE-19「宿敵の牙」でケバブにチリソースをかけて食べようとしていたところ、「ヨーグルトソースをかけるのが常識」と言いながらバルトフェルドが登場。敵対している「砂漠の虎」だとキラが気づかなかったほど、イメージとは違う気さくな雰囲気を見せていました。
その後はバルトフェルドの屋敷でコーヒーを口にしながら会話。次第にバルトフェルドは鋭い表情を見せるようになり、「どうやったらこの戦争は終わると思う?」と問いを投げかけます。登場シーンとのギャップも相まって、より印象に残る場面となりました。
敵を全て滅ぼさなければ戦争は終わらないかもしれないと、これまで考えもしなかった疑問がキラを悩ませ続けることに。しかしこの問いがあったからこそ、キラの戦い方が大きく変化していくのです。