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原作改変が絶妙な実写ドラマ4選 カット割りや設定変更、オリジナル「げぇむ」も話題に

改変というよりほぼオリジナルな作品も…

テンポの良い映像に仕上がったドラマ『ミステリと言う勿れ』メインビジュアル (C)田村由美/小学館 (C)フジテレビジョン
テンポの良い映像に仕上がったドラマ『ミステリと言う勿れ』メインビジュアル (C)田村由美/小学館 (C)フジテレビジョン

●『ミステリと言う勿れ』

 田村由美先生によるミステリーの実写ドラマ版である本作は、原作再現にこだわりすぎない映像表現が素晴らしいです。マンガのコマ割りは、映像の絵コンテに通じるものがあります。例えばアニメ版『蟲師』は原作に忠実な代表例で、コマ割りまで含めてかなり忠実に原作を再現しています。

 ただし、マンガのコマは1コマに数秒かそれ以上の時間が圧縮されているので、そのまま映像で再現すると動きのない間延びした映像になってしまいます。映像のセオリーはカットを割るか画面を動かしてリズムを作ることですが、『蟲師』は原作のコマを意識しつつも画面に動きをつける(画面自体を動かす、または画面内の被写体を動かす)ことで間延びすることを防いでいました。

 一方、『ミステリと言う勿れ』はカット割りを多くして、実写ならではのアプローチを見せました。映画の総カット数は平均700~1000程度ですが、『ミステリと言う勿れ』は約50分の放送時間で一話平均1000カット近くあります。原作のコマ数が特に多いわけではないのですが、会話が非常に多い内容を考慮して、インサートとカットバックを多用する手法を選択したのでしょう。そのため、会話劇の場面も非常にテンポよく仕上がっています。

 また、内容の改変で話題によく挙がっているのが、伊藤沙莉さんが演じた風呂光(ふろみつ)刑事の扱いです。彼女は原作では警察関係者のひとり程度の扱いでしたが、テレビドラマではヒロインのポジションに昇格しており、主人公の久能整(くのう・ととのう)にほのかな恋心を抱いているような描写がされています。

『ミステリと言う勿れ』は少女漫画でありながら恋愛要素がほぼ皆無の珍しい作風で、ドラマで恋愛要素が足されたことについては、視聴者の一部で議論も起こったようです。プライムタイムのテレビドラマはF1層(20歳~34歳の女性)が主なターゲットになっているとされ、マーケティング的なことを考えると恋愛要素を足すのは判断としては妥当と見ることもできます。ただ、一部に批判的な意見もあったことから、この点については評価が難しいところです。

●『孤独のグルメ』

 マンガの『孤独のグルメ』は2巻しかなく、主人公の井之頭五郎がひとりで黙々と食事するだけの話です。テレビドラマではその基本設定だけを残し、話は完全にオリジナルにする大胆な改変をしています。原作に登場した店は使わない取り決めをするという徹底ぶりです。ただし、雰囲気は原作そのままなので、忠実とも言えます。

 このほとんど何も起きないゆるい作風が深夜帯のドラマにぴったりハマったのか、10年以上断続的に続く長寿シリーズになりました。放送時間帯を深夜にしたのもマーケティング的には大成功で、小腹が空いてくる深夜に五郎が黙々とご飯を食べている姿は「夜食テロ」として話題になりました。強面のイメージが強い松重豊さんを起用したキャスティングも意外性があって面白いです (原作通り、下戸なのがなんだかかわいい)。

(ニコ・トスカーニ)

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