『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』BS12で放送 賛否分かれた福井晴敏版『愛の戦士たち』
「波動砲」の封印を破るかどうかで悩む古代進

出渕裕監督による『宇宙戦艦ヤマト2199』では、イスカンダル星から帰還したヤマトは「波動砲」が封印されているという設定になっていました。この「波動砲」封印という設定は、福井晴敏版『宇宙戦艦ヤマト2202』でも引き継がれています。
木星に浮かぶ浮遊大陸を一発で消滅させたほどの威力を持つ「波動砲」は、究極の破壊兵器です。現実世界における「核兵器」のメタファーだと言えるでしょう。「波動砲」を使うことで、ひとつの星の生態系まで変わってしまうことにもなりかねません。
亡くなったヤマトの沖田艦長は、イスカンダル星の女王・スターシャと「波動砲は二度と使わない」と約束を交わしていました。尊敬する沖田艦長が残した約束を、古代進は軽視することができません。強敵・ガトランティスを前にして、古代進は悩みに悩みます。
古代進がどのような選択をするのかが、本作の大きな見どころとなっています。生死ギリギリの戦いをともにしてきた島大介たちヤマトの他の搭乗員たちの決断にも、注目が集まります。古代進ひとりに「波動砲」の引き金を引かせる責任を取らせないよう、島たちはある行動に出ます。このシーン、観る人によって意見が大きく割れることになるでしょう。
責任の重さに苦しんだ実在の英雄
1945年8月6日、米軍の爆撃機「エノラゲイ」は広島に人類初となる原爆を落としましたが、「エノラゲイ」を先導していた米軍機のパイロット、クロード・イーザリーは終戦後、酒に溺れ、精神病院に隔離されることになったそうです。米国では太平洋戦争を終結に導いた英雄と賞賛されたものの、被爆地の実態を知った彼は自分の犯した罪の重さに耐えられなくなってしまったのです。
戦争が終わっても、戦争体験者たちはPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しめられることが知られています。戦場で体験した恐怖が、戦後もずっとフラッシュバックし続けるそうです。
地球の危機をたびたび救ってきた古代進ですが、彼の心はボロボロに傷つくことになります。古代進をはじめ、ヤマトの搭乗員たちが平穏な生活を手に入れることは容易ではなさそうです。
(長野辰次)


