アニソンは事実上「もう存在しない?」 クリスマス・お正月回も激減したワケ【この業界の片隅で】
アニソンらしいアニソンの持つ可能性

TV放送のゴールデンタイムにアニメ番組があった時代、冬になればいかにも冬らしい、クリスマスやお正月のエピソードが流れるのが普通でした。これも、アニソンらしいアニソン同様、すっかり少なくなってしまったように思います。
主要な放送形態が、いわゆる4クール(全12話程度×4ターム)から1クール(全12話程度)になったのが、大きな要因でしょう。季節ならではのお話を入れ込む余裕なんて、はじめからないのです。逆に、その余裕がある4クール放送の「プリキュア」シリーズなどでは、季節エピソードが今でも制作されています。
アニメビジネスは今や、海外での動画配信が主戦場です。そのため、業界の一部にはいまだに、「特定の地域や季節ありきではなく、世界中の人間がいつでも誰しも受け入れられるような普遍的な内容でないと」という意見が根強くあります。
本当にそうでしょうか?
アニソンはアニメの世界観が前面に出すぎるとアーティストのファンに受けないという考えと同様、固定観念に過ぎないように思えます。
『超電磁マシーン ボルテスV(ファイブ)』のオープニングテーマ曲「ボルテスVの歌」が、フィリピンで第2の国歌さながらに歌い継がれているのは有名な話です。作品が放送された当時のフィリピンの政治状況など、さまざまな背景はあるのですが、単純すぎて見落とされがちな理由として、キャラクター名や作品ならではの歌詞が盛り込まれていたので、違う言語圏であっても耳に残って口ずさみやすかったいうのがあります。
フィリピン以外にも、言葉の通じないさまざまな国でアニメが広く見られるようになった今だからこそ、キャラクター名や世界観をストレートに盛り込んだアニソンらしいアニソンが求められていると、考えることはできないでしょうか。
王道のアニソンは格下という偏見は、先達が打ち壊してくれました。特定の季節や地域ありきの作品内容も、理解できない方が実は興味をそそられるという話も聞きます。日本のアニメ文化をより普遍的なものにするために必要なのは、案外、アニメの内容をそのまま歌うアニソンの「古さ」や、日本という国や季節ならではの内容を描くエピソードの「狭さ」への、原点回帰なのかもしれません。
(おふとん犬)





