『ジャンボーグA』放送から50年 当時は前代未聞の「主役交代劇」に子供は興奮!
史上初だった、番組途中からの主役交代劇

『ジャンボーグA』を振り返った時、受ける印象は円谷プロらしくない明るい作品だということです。前述したように、同時期に放送していた『ファイヤーマン』と『ウルトラマンタロウ』との差別化が頭にあったのでしょう。
そのためか分かりませんが、敵側に当時の人気作品だった特撮ヒーロー番組『仮面ライダー』との共通点がいくつかありました。敵組織の存在、その中心となる幹部の登場と交代、戦闘員の登用、姿を見せない支配者などです。放送局が『仮面ライダー』と同じ毎日放送だったことから何らかのオーダーがあったのかもしれません。または意識的に『仮面ライダー』の構成を取り入れた可能性はあります。
しかし、当時の子供だった筆者が注目したのは第32話で『ミラーマン』に出てきたSGMのジャンボフェニックスの登場でした。しかも乗り込んでいたSGMの村上チーフが、そのままPATの隊長に就任するという展開に興奮します。後に本作は『ミラーマン』の主要スタッフが製作していたことを知り、この展開に納得しました。
もちろん子供はこの展開からミラーマンとの共演を夢見ましたが、その主人公を演じた石田信之さんはすでに第12、13話に出演していて、そんな夢のような展開はありません。しかし、ヒーローの共演よりも防衛チームの共演というのはあまり例がないので、そういう点でも本作は先駆的だったのでしょう。
そんな本作でヒーロー番組史上初と言われているのが、「ジャンボーグ9」というもうひとりのヒーローの登場です。これまでのヒーロー番組のセオリーになかったこの展開は、本作で特筆すべき点のひとつ。この主役交代劇は当時の子供を驚かせました。しかも後に「A」も復活し、主役はふたり体制となります。
当時の子供としては、後から出てきて「A」を倒したジャンキラーに勝った「9」の方が強い、となりましたが、劇中での見せ方はその想像を裏切る絶妙な演出をしていました。パワーがあっても空が飛べないという弱点を持つ「9」に対して、「A」は万能タイプのイメージで両雄を並び立たせます。
唯一の不満だったのは操縦者であるナオキの体はひとつですから、「A」と「9」の共闘は普通なら見られないこと。しかし第47話で「9」が敵に奪われたことから「A」と対決、その後に取り戻した「9」にエメラルド星人が乗り込むという展開で夢の共闘を実現させていました。
こういった展開の他にもどちらかが一度、怪獣に敗れてから別のジャンボーグで勝利するということもあって、新型の「9」が絶対的に強いわけでなく、「A」の見せ場を後半でも見せることでダブルヒーローの活躍で番組を盛り上げます。
この他にも子門真人さんが「谷あきら」名義で歌っている主題歌もノリのいい名曲で、当時の子供たちはよく口ずさんでいました。OP映像が大空を飛ぶジャンセスナの実写映像という硬派な感じもまた良かったです。
たいへん人気の高い作品で延長も視野に入っていました。最終回で謎の声が出てきたのもその名残だそうです。新しい敵幹部も予定されていたそうですから、もし延長していたら第3のジャンボーグが登場していたかもしれませんね。
(加々美利治)


