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「平成初」を飾った『仮面ライダークウガ』、悪の秘密結社が不在だったワケ

世間に配慮して生まれた敵役「グロンギ」

「仮面ライダークウガ Blu‐ray BOX 」第1巻(東映)
「仮面ライダークウガ Blu‐ray BOX 」第1巻(東映)

 まず“改造人間”という設定についてです。医療技術の進歩から人工骨や心臓ペースメーカーなどの人工臓器や医療機器を利用することが一般的となり、そうした方々への配慮から排除されました。また視聴者である子供たちが手術に対してネガティブな感情や印象を抱いてしまわないように、という配慮でもあります。

 次に、ヒーローものにはなくてはならない、世界征服を目指す”悪の秘密結社”が、『クウガ』には登場しません。『クウガ』放送当時は、1995年に起きた「地下鉄サリン事件」など、オウム真理教による一連の事件の記憶がまだ鮮明でした。現実の事件を連想させかねないため、ショッカーのようなピラミッド型の組織の設定は使用できなかったのだといいます。

 これに付随する形で”戦闘員”の存在も排除され、”世界征服”という敵の目標設定もリアリティの追求という観点から用いられませんでした。

 こうして生み出された本作の敵が”グロンギ”です。彼らは”ゲゲル”という殺人ゲームを行う古代の戦闘民族で、悪の秘密結社でもなければ改造人間でもありません。グロンギの殺人描写に関して放送局であるテレビ朝日側から「絶対に人間には出来ない殺人方法」を行うという要望が出たため、「殺害」の方法や「被害者数」、「事件の発生頻度」などは人間離れしたものとなっています。

 しかし、妥協のない恐怖演出から、グロンギたちは日曜の朝からお茶の間の視聴者を戦慄させ、「怖すぎる」というクレームが視聴者から寄せられたという話もあるほどです。

 平成仮面ライダーシリーズは『仮面ライダークウガ』から2019年4月現在放送中の『仮面ライダージオウ』まで、連続して19年間で計20作品が製作されています。『クウガ』の”完全新生”は、「平成」から「令和」へと受け継がれる仮面ライダーシリーズの礎(いしずえ)を築いた出来事といえるでしょう。

(森谷秀)

時代を先取り? 平成最初を飾った「クウガ」の造形美(5枚)

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