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おなじみ「バルタン星人」の大きな変遷。「幻の作品」から人間味あふれる設定に

ウルトラマンを知らない人でも知っている宿敵「バルタン星人」ですが、その設定や描写は21世紀にかけて大きく進化してきました。生みの親である飯島敏宏監督の未映像化脚本『ウルトラマン バルタン星人大逆襲』を手がかりに、その変遷をたどっていきます。

幻の映画『ウルトラマン バルタン星人大逆襲』

ウルトラマンとバルタン星人のアクションフィギュア「S.H.Figuarts ウルトラマン」「S.H.Figuarts バルタン星人」 (C)円谷プロ (C)BANDAI
ウルトラマンとバルタン星人のアクションフィギュア「S.H.Figuarts ウルトラマン」「S.H.Figuarts バルタン星人」 (C)円谷プロ (C)BANDAI

 ウルトラマンを詳しく知らない人でも、その名前を知っている宇宙人“バルタン星人”。『ウルトラマン』(1966年~1967年)第2話「侵略者を撃て」に登場して以降、シリーズをまたいで複数回あらわれウルトラマンの宿敵として認識されているようです。

 初登場のバルタン星人は核実験によって母星を失い、地球への移住を求めます。しかし人類と交渉が決裂したことで、ウルトラマンと戦闘になり倒されてしまいました。第2話「侵略者を撃て」の脚本・監督を担当したのが、当時TBS映画部に所属していた飯島敏宏監督監督で、“バルタン星人の生みの親”と呼ばれています。

 飯島監督が脚本を執筆しながらも実現しなかったウルトラマンの映画企画に、『ウルトラマン ジャイアント作戦』(以下、『ジャイアント作戦』)と『ウルトラマン バルタン星人大逆襲』(以下、『バルタン星人大逆襲』)があります。

 前者の『ジャイアント作戦』は『ウルトラマン』の放送期間中に企画されたものでしたが、映像化は見送られ、かわりに円谷一監督が手掛けたエピソードを再編集した『長編怪獣映画ウルトラマン』(1967年)が劇場公開されました。バルタン星人は『ジャイアント作戦』にも敵のひとりとして登場する予定だったのです。

 後者の『バルタン星人大逆襲』は1990年代に執筆されたもので、初代『ウルトラマン』の世界観を受け継いだ作品でした。科学特捜隊の隊員であったフジ・アキコの息子ジュンと宇宙から来た生命体(バルタン星人)の交流を主軸に、ウルトラマンジュニアの誕生を描いた内容で、スティーブン・スピルバーグ監督の映画『E.T.』(1982年)を意識したものとなっています。

 タイトルに「バルタン星人大逆襲」とはありますが、本作の敵は新規の宇宙人と怪獣。バルタン星人は敵として登場するのではなく、なんとウルトラマンとともに地球を守るために立ち上がるのです。

 本作に登場するバルタン星人たちはもともと人類に近い姿をしており、公害に汚染された環境に適応するため、従来のセミのような姿になったという設定です。脚本ではサナギから羽化して大人のバルタン星人になるという、昆虫のような変態の過程も描かれており、そのイメージが映像化されなかったのは残念でなりません。

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