『キン肉マン』アニメ化から40年 原作者自ら要望した「改変」で大ヒットに?
TVアニメとして放送されてから40年を迎えた『キン肉マン』。大人気だった原作からアニメとなったことで、日本中を熱狂させるほどの大ヒットを生み出しました。その魅力の数々について解説していきます。
徹底したファン目線で「改変」を行う

本日4月3日は、「週刊少年ジャンプ」で連載されていた人気マンガ『キン肉マン』がTVアニメとして1983年に放送開始した日。今年で40周年になります。アニメになったことで、より大きなヒットを生むことになった『キン肉マン』について振り返ってみましょう。
『キン肉マン』は当初、1978年の第9回赤塚賞に準入選した読み切りからスタートし、その後に連載が始まったギャグマンガでした。しかし、作者のゆでたまご先生(原作担当の嶋田隆司先生と、作画担当の中井義則先生の共同ペンネーム)が大のプロレス好きだったこともあり、「第20回超人オリンピック編」を機に内容が格闘路線に舵を切るようになります。
この路線変更が読者に大いに受け入れられ、やがて不動の人気を得ることとなりました。その人気も安定していたころ、TVアニメ化が決まります。原作マンガでは、ちょうど「黄金のマスク編」で悪魔将軍との戦いが始まるころでした。もっとも勢いのあった時期と言えるでしょう。
『キン肉マン』はほとんどの局が日曜朝10時からの放送でしたが、この時間枠には『笑っていいとも!増刊号』という高視聴率番組が競争相手として存在していました。そこで嶋田先生はTV局に「早めに超人オリンピックを始めるよう」に要望します。そのため放送開始の翌月中旬から、人気の高い格闘路線が始まりました。強力な裏番組への対抗策というわけです。
こういった原作者からの要望は他にもありました。原作マンガでは読者の支持があまりなかった「アメリカ遠征編」がTVアニメで大きく変更されたのも、原作側の要望からだったそうです。こういった原作側の要望が、TVアニメの構成をマンガよりファン目線で面白くなるよう変えていきました。
この他にも原作マンガではなかった部分にもギャグが頻繁に織り込まれるようになったのも、原作側の要望だったそうです。それによりナチグロンや五分刈(原作では赤岩)刑事のレギュラー化、原作マンガ途中から消えてしまったキン骨マンやイワオをコメディリリーフとしてレギュラーで起用することで独特のテンポを構築しました。このギャグとバトルのテンポの良い切り替えがTVアニメの魅力のひとつではないでしょうか。
こうしたTVアニメならではの独特の構成が受け入れられたのか、視聴率も徐々に上昇し、放送1年後にはゴールデンタイムでのTVスペシャルや劇場版の制作が決定します。そのころには『キン肉マン』は誰もが知るヒット作となっていました。