『ワンピ』ヒントは「自由」? ルフィの「夢の果て」が大爆笑された理由とは
ルフィが子供時代に語った夢とは?
![海賊王が掲げた夢とルフィが掲げた夢は同じだった。ルフィはロジャーの志を継ぐのか?画像は「ONE PIECE Log Collection “ROCKET MAN” [DVD]」(エイベックス・ピクチャーズ)](https://magmix.jp/wp-content/uploads/2023/07/230626-yume-2-210x300.jpg)
幼少期、ルフィはエースやサボとそれぞれの夢を語り合っています。ロジャーの血を引くため世界中から疎まれるエースは「大海賊になって世間を見返す」名声を、窮屈な家に生まれたサボは「広い世界を見て、それを伝える本を書く」ことを望みました。ルフィがなんと言ったかはカットされていて分かりません。しかし、ふたりが笑ってあきれてしまうような内容だったことは明らかです。子供なのできっとシンプルな内容でしょう。
そして、ルフィの夢は海賊王と呼ばれるロジャーの夢と同じものだったことが、シャンクスやヤマトの口から語られています。ロジャーと面識のないヤマトは「おでんの航海日誌」から知ったようです。
ルフィがサボとエースに夢を語った時のコマ割りが、ロジャーがおでんと白髭に夢を語った時とまったく同じだったことも、意図して描かれている証拠ではないでしょうか。
●物語の終着点とルフィの夢は同じ
もしかしたら幼少期のルフィは深く考えずシンプルに「世界中の人と宴会をしたい」もしくは「世界中の人と自由に楽しく遊びたい」などと言ったのかもしれません。いかにも大食いで宴会好きのルフィが言いそうな子供じみた夢だと思いませんか?
しかし何の力もない子供が「世界中の人と宴会をしたい」と言うのと、世界を揺るがす四皇の一角が「世界中の人と宴会をしたい」と言うのでは、言葉が持っている意味がまったく違います。
それは「この世界から支配や差別や貧困をなくす」と宣言したのと同じことです。
そのスケールを察したからこそ、みんな笑って驚き感動したのです。105巻でルフィの夢を知ったウソップは「お前な!そんなこと出来るわけがねェだろ!」と言った後「おい、いやいやお前…!」と言葉の重さを悟って驚愕していました。
世界でもっとも自由な存在である海賊王になり、「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を手に入れ、あらゆる人種が幸せに暮らせる世界を作る、宴会は融和と自由のシンボルです。
このルフィの夢の実現こそが『ONE PIECE』の物語が目指しているエンディングではないでしょうか。もしかしたら、最終回では世界中のさまざまな種族が一堂に集まって超大宴会を開き、自由な新時代の始まりを祝うのかもしれません。
(レトロ@長谷部 耕平)