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日野日出志の恐怖マンガが描く「真実」 大人になった今こそ見えてくる?

凶悪犯罪者の部屋から見つかったビデオ

日野日出志氏がキャラクターデザインを手掛けた、銚子電鉄のオリジナル土産「まずい棒」。キャラクターは「まずえもん」と命名された(画像:銚子電鉄)
日野日出志氏がキャラクターデザインを手掛けた、銚子電鉄のオリジナル土産「まずい棒」。キャラクターは「まずえもん」と命名された(画像:銚子電鉄)

 読む側もヘトヘトになる日野日出志作品ですが、当然ながらアイデアを練り、マンガ表現へと形にする本人の苦労は生半可なものではなかったようです。ペンを手にするときだけ、「ホラー漫画家・日野日出志」というキャラクターに変身することで、うまくスイッチのオンオフを行っていたそうです。普段は明るく穏やかな人柄です。

 それでも、漫画家としてのありったけの情熱を注いだ代表作『地獄変』や『赤い蛇』の執筆時は体重が10キロ以上減るなど、生命の危険を感じたそうです。まさに、身を削りながら、恐怖漫画を描いていたわけです。

 さらに1989年に発覚した宮崎勤事件(東京都北西部・埼玉県南西部で発生した、連続幼女誘拐殺人事件)の際には、「犯人は日野日出志のビデオ映画を持っていた」という誤報が広まり、大変な騒ぎとなりました。実際に宮崎勤の部屋から押収されたのは『ギニーピッグ4 ピーターの悪魔の女医さん』(1986年)だったのですが、日野日出志監督作『ギニーピッグ2 血肉の華』(1985年)と誤って報道されたのです。このときは漫画家を辞めるべきかどうか、真剣に悩んだそうです。

 代表作『蔵六の奇病』や『地獄変』を大人になってもう一度読み返すと、極端にディフォルメされてはいるものの、純粋な表現意欲や裏返しになった家族愛を描いたファンタジーであることが分かります。汚物の海や死体の山の向こう側に、とても美しいものが隠されているのが日野日出志ワールドだったのです。

 もともとは杉浦茂のギャグマンガに憧れてマンガを描き始めたこともあり、日野日出志氏が描くキャラクターはユーモラスさを備えているのも特徴です。2018年にはスナック菓子「まずい棒」のキャラクター・まずえもんのデザインを手掛けるなど、ホラー漫画家以外の側面も注目を集めるようになってきました。『ドラえもん』のパロディ漫画『銅羅衛門』も機会があれば、ぜひ読んでみたいものです。

 きれいは汚い、汚いはきれい。日野日出志作品を大人になって読み返すと、そこにはトラウマ級の感動が待っているのかもしれません。

(長野辰次)

●『伝説の怪奇漫画家 日野日出志』(DVD)
監督・撮影/寺井広樹 出演/赤塚りえ子、伊藤潤二、犬木加奈子、御茶漬海苔、里中満智子、清水正、Joshua Kennewell、しりあがり寿、高橋良輔、竹本勝紀、ちばてつや、手塚眞、ナカジマノブ(人間椅子)、のむらしんぼ、古谷三敏、みうらじゅん、三浦みつる、山咲トオル、八名信夫

製作・著作/日野プロダクション 販売元/十影堂エンターテイメント
映画公式サイト:https://hinohideshi-movie.com/

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