存在感がますます高まる「TVアニメ」 ネット配信が全盛でも「放送枠」が増加するワケ
音楽産業までも活性化させる(?)計り知れない可能性

また、近年は邦楽のヒット作の多くがアニメの主題歌から生まれています。2022年には『ONE PIECE FILM RED』の主題歌「新時代」がApple Musicで日本の楽曲として初めてデイリーチャート「トップ100:グローバル」の1位を獲得。2023年に入ってからも『推しの子』の主題歌「アイドル」がYouTubeの世界楽曲チャートであるmusic charts TOP 100 songs Globalで世界1位を獲得するなど、邦楽のヒットという点でも、アニメは大きな影響力を持つ存在となりました。
思えば、1970年代から1980年代にかけては多くのアニメ作品が「本放送」と「再放送」で公開され、子供たちはTVの前に釘づけになりました。しかし1990年代に入ると徐々に夕方や夜の放送枠が減少し、家庭用ゲーム機の普及もあって、子供たちがアニメを見る機会は徐々に減っていきました。近年のTVでのアニメ放送枠の拡大は、「子供たちにTVを見る習慣をつけて欲しい」という目論見もあるのかもしれません。
かつてはスポンサー商品やおもちゃを売るCMを見せることでビジネスが成立していたTVアニメは、1995年の『新世紀エヴァンゲリオン』の登場により、映像とキャラクターの商品化により利益をあげられることが示され、DVDの販売や関連グッズの販売へと大きな方向転換が行われました。今では海外への配信を中心としてアニメーション関連の事業規模は年々拡大を続けており、日本の主力産業のひとつとみなされるようにもなっています。TV局が海外市場の開拓を見据えるのであれば、アニメは有力な選択肢のひとつとなるでしょう。
しかしながら、日本のアニメ産業はクリエイターへの利益配分の少なさや、そもそもの人員不足など、多くの問題をはらんでいるのも事実です。それでもなお、TVアニメが「子供向け番組」として低い扱いを受けていた時代を知る者としては、現在ははるかに前向きな側面が見えてきていると断言できます。
アニメ産業に関わる人びとが、それぞれの立場でできることをやり続けてきた結果、アニメは今のような重要な存在へと変化してきました。ならばこれからも、アニメに携わる人びとが話し合いや行動を続けて問題を解決していき、少しずつ状況を変えていくことが、アニメの存在感をより加速させていくことにつながるのではないでしょうか。
(早川清一朗)




