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大女優・八千草薫さんをめぐる伝説。実はアニメや特撮映画にも影響?

ガス人間さえも魅了した美貌

八千草薫さん主演作『ガス人間第一号』ガス人間第1号 [東宝DVD名作セレクション]
八千草薫さん主演作『ガス人間第一号』ガス人間第1号 [東宝DVD名作セレクション]

 アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『宮本武蔵』(1954年)ではヒロイン・お通を演じるなど、映画界でも輝かしい足跡を八千草さんは残しています。そんな八千草さんの映画キャリアの中で、異彩を放っているのが『ガス人間第一号』(1960年)です。

 大ヒット作『ゴジラ』(1954年)で知られる本多猪四郎監督が撮った怪奇色の強い『ガス人間第一号』で、八千草さんは日本舞踊家の藤千代を演じています。そして、その藤千代の美しさが大変な悲劇を招くことになるのです。

 藤千代は才能ある舞踊家ですが、世間からは認められず、発表会を開くこともままなりません。そんな藤千代の前に現れたのが、ガス人間こと水野(土屋嘉男)でした。世間を恨み、孤独に生きてきた水野は体をガス状に変えることができる特殊な力を持っていました。水野はその能力を悪用し、銀行から奪った大金で藤千代の発表会を開こうとするのでした。

 藤千代は水野の正体がガス人間であることを知りながらも、発表会で新作の踊りを披露したいという欲望を抑えることができません。警察が厳重に取り巻く劇場で、藤千代は「情鬼」という踊りを披露します。女のはかなさと強さの二面性を表現した踊りです。

 客席で藤千代の踊りを最後まで見守っているのは、水野ただ一人。踊りを終えた藤千代は、水野と抱擁しながら、可燃性のガスが充満した劇場に火を放つのでした。世間を騒がしたことに対して、藤千代なりのけじめをつけたのです。壮絶なラストシーンでした。

 清純なイメージで人気だった八千草さんですが、『ガス人間第一号』で汚れ役とも言える藤千代役を引き受けたのには事情がありました。八千草さんは映画『乱菊物語』(1956年)で知り合った谷口千吉監督と1957年に結婚しています。八千草さんはこのとき26歳で、谷口監督は45歳。19歳の年齢差がありました。また、ふたりが知り合ったとき、谷口監督は妻帯者でした。周囲の反対を押し切っての結婚だったのです。

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