ベジータの「貴様」にロケット団の「やな感じー」…実は台本になかった声優たちの名アドリブ
『ポケモン』『エヴァ』etc…名アドリブはほかにも

声優のアドリブによって定番化したセリフは、アニメ『ポケットモンスター』にも存在していました。同作に登場するムサシ、コジロウ、ニャースからなる「ロケット団」は、サトシたちに成敗された際、「やな感じー」といいながら退場するのがお決まりでした。
実はこの決めゼリフはそれぞれの担当声優である林原めぐみさん、三木眞一郎さん、犬山イヌコさんのアドリブだったそうで、当時脚本を務めていた故・首藤剛志さんのコラムには「それに触発されて映画版のラストのロケット団のセリフ『なんだかとってもいい感じー』がすんなり書けたといってもいい」ともつづられていました(WEBアニメスタイル「シナリオえーだば創作術」より)。
そしてムサシ役の林原さんといえば、「エヴァンゲリオン」シリーズの綾波レイ役としても知られています。TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』第12話で綾波が注文した「にんにくラーメン、チャーシュー抜き」も、実はもともと台本にはなかったセリフでした。本当は別のラーメン名が書かれていたそうですが、林原さんが冗談でいった「にんにくラーメン」がそのまま採用されたそうです。
ちなみにアドリブとは少し違いますが、映画『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』のラストで惣流・アスカ・ラングレーが碇シンジに放った「気持ち悪い」という発言も、台本にはなかったセリフです。
初期の台本では「あんたなんかに殺されるのはまっぴらよ」と書かれていたのですが、これに庵野秀明監督が納得できず、撮り直しを行ったといいます。その過程で庵野監督から「窓から知らない男が入ってきて、宮村の寝ているところを見ながら発情していたらどう思うか?」といった主旨の質問を投げかけられ、宮村さんが「気持ち悪い、ですかね」と答えたところ、そのまま最後のセリフに置き換えられることになりました。
この秘話は2005年に放送された『BSアニメ夜話』で宮村さん自身から明かされており、「前から監督変な人だなと思ってたんですけど、その(質問をされた)瞬間に気持ち悪いと思って……」とも語っています。演者のリアルな感情から出てきた演技だからこそ、今もなお語り継がれる伝説の名ゼリフとなったのではないでしょうか。
最近のアニメ業界では「原作通りのアニメ化」が何よりも重要視されるようになっており、アドリブの演技を見かける機会は減りつつあります。そんな今だからこそ、レジェンド声優たちによる名アドリブが心を揺さぶってくるのかもしれません。
(ハララ書房)


