TVアニメ『ウイングマン』放送から40年 再アニメ化の声が大きいのにも相応の理由アリ
「少年ジャンプ」で人気連載中だったマンガ『ウイングマン』がTVアニメ化されてから40年が経ちました。いまだにファンから注目されている人気作です。その人気の秘密を紐解いていきましょう。
『ウイングマン』がヒットした時代背景にあったもの
本日2月7日は、1984年にTVアニメ『夢戦士ウイングマン』が放送を開始した日です。当時、「週刊少年ジャンプ」で人気連載中だった、桂正和先生によるマンガ『ウイングマン』が原作となります。桂先生の知名度を一気に上げた『ウイングマン』について振り返ってみましょう。
『ウイングマン』の連載は「ジャンプ」1983年5・6合併号からで、その原典となる『ツバサ』は、1980年の第19回手塚賞佳作を受賞していました。この『ツバサ』は雑誌掲載こそされませんでしたが、後にコミックスに収録されて世に出ることになります。
その後、桂先生は第21回手塚賞準入選作品『転校生はヘンソウセイ!?』で、「ジャンプ」1981年32号にてデビューを果たしました。この頃、その才能を見出したジャンプ編集部の鳥嶋和彦さんに勧められ、桂先生は主にラブコメ作品を中心に描いていたそうです。
おそらく鳥嶋さんとしては、桂先生の連載デビュー作はラブコメ作品を期待していたのでしょうが、桂先生は特撮ヒーローファンだったことからヒーローものに執着していたといいます。そこで折衷案として、ヒーローものをメインとしながらも、ラブコメ要素の強い『ウイングマン』が連載デビュー作となりました。
『ウイングマン』連載当時、「ジャンプ」は方針からか、ラブコメ作品がいくつか連載されています。しかし、ヒーローものといえば近いジャンルは『キン肉マン』くらいでしたから、他作品と差別化がはかられていたこともヒットに結び付いた要因なのかもしれません。
急速な人気上昇というわけではありませんが、『ウイングマン』は着実にファンを生み出し、徐々に「ジャンプ」の一角を担うような作品となっていきます。そして、連載から1年ほど経過したころにTVアニメ化が発表され、「ジャンプ」でも不動の人気作品となっていきました。
アニメでは『夢戦士』と付けられ、原作マンガよりファミリー向けに製作されています。そのため、主人公である「広野健太」はおっちょこちょいが目立つ、より親しみやすいキャラクターとなって、作風も日常的要素が強いものとなっていました。
この健太を演じたのが、現在はレジェンド声優と呼ばれる堀川りょう(当時は堀川亮)さんです。ちなみに堀川さんは子役として活躍していたものの、声優は今作がデビュー作で初主演作でした。
TVアニメ版『夢戦士ウイングマン』によって、ファン層は広がりを見せます。しかし、それ以上に追い風となったのが、数年前までは子供番組として軽んじられていた特撮ヒーロー番組に変化がおとずれたことでした。
『宇宙刑事ギャバン』以降のシリーズによるメタルヒーローの隆盛、『科学戦隊ダイナマン』から加わった出淵裕さんのアニメ的デザインといった要素が、特撮ヒーロー番組に興味を失っていた青年層を呼び戻していたことです。こういった背景が『ウイングマン』のヒーロー要素を、「新しいもの」として受け入れられる援護射撃となったのでしょう。
こうしてアニメもスタートし順風満帆に歩んでいた『ウイングマン』でしたが、思わぬ「つまずき」が起きてしまうのでした。