アムロとシャアの女性遍歴を振り返る 運命の女を忘れられない男たち
実はロリコンとはいえないシャア

シャアの女性遍歴はというと、ララァを例外とすれば、実は親密に付き合っていたといえるのは、『Zガンダム』時代の「レコア・ロンド」と『逆襲のシャア』時代の「ナナイ・ミゲル」のふたりだけです。『Z』から登場した「ハマーン・カーン」とも、ザビ家の遺児「ミネバ」の教育問題に留まらない「何か」があったらしいことは示唆されているものの、アニメでは全く語られていません。
レコアやナナイとは大人の恋愛関係を結んでいるように見えますが、その関係性は表層的で、ふたりともシャアが本気ではないことに気づいていたように見えます。だからレコアは物足りなさを感じ、エゥーゴを裏切って「パプテマス・シロッコ」のもとへ走ったのではないでしょうか。
また「シャアはロリコン」という俗説については、『逆襲のシャア』において、ニュータイプの少女「クエス」の興味をシャアから引き離そうとした、シャア麾下のパイロットである「ギュネイ・ガス」の「大佐はロリコンなんだぞ!」というひと言が原因と思われます。しかし、アムロとの最後の会話で明らかなように、シャアはクエスに特別な感情を抱いておらず、手なづけて戦闘マシンとして扱っていました。
そもそもシャアとララァの年齢差は4、5歳程度で、問題にするほどのこととは思えません。年齢差ということであれば、ギュネイがいうところの「大人の女」らしいナナイ・ミゲルです。なんとナナイの年齢は24歳で、『逆襲のシャア』時代のシャアと10歳違いでした。ナナイはアムロとの一騎打ちに思念で介入しようとしたり、死にゆくシャアを察知して嘆いたりと、ニュータイプ能力を持っていたようです。ナナイがシャアにまとわりつくクエスに嫉妬したのは、自分と立場が似ていたからでしょう。
●言い寄られるふたり
こうして振り返ると、アムロとシャアの恋愛は受け身です。女性から好意を向けられ、それに対して応えるという姿勢が共通しているようです。もしかしたらふたりが自分から特定の異性にアプローチしようとしなかったのは、ララァを忘れられなかったせいなのかもしれません。
(レトロ@長谷部 耕平)