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迫害される「アニメオタク」の消失と、声優の「タレント化」が進んだ理由は?【この業界の片隅で】

声優の「タレント化」が進んだ理由は?

配信限定でリリースされた、キリンレモントリビュート楽曲 水瀬いのり『まっすぐに、トウメイに。』(キングレコード)
配信限定でリリースされた、キリンレモントリビュート楽曲 水瀬いのり『まっすぐに、トウメイに。』(キングレコード)

 声優の立ち位置の変化に伴って目立ってきているのが、一般企業がタレントとして声優を起用する事例です。水瀬いのりさんが出演したキリンレモンのCMは、彼女の透明感あふれる爽やかな魅力がフルに活かされ、大きな話題になりました。日本マクドナルドの「グラコロ」のアニメCMも、前田敦子さんと共に、竹達彩奈さんと愛美さんが前面に押し出されています。河出書房の「河出文庫ベスト・オブ・ベスト」フェアに斉藤壮馬さんが起用されたり、HONDAの公式ブログ「A Little Honda」で西田望見さんが連載記事を持ったりしているのも、従来であれば考えにくかった展開です。

 役者であるのと同時にタレントでもあれば、常に激しい競争にさらされているなかでも、声優が生き残る手段は昔よりも多くなっているのです。大手企業と結びつけば、活動の幅を広げていくきっかけさえ作れるかもしれません。

 声優の起用を考えている企業とは、何社かお話した経験があります。彼らが一様に注目しているのは、声優ファンの驚くべきコンバージョン率の高さです。いわゆる「顔出し」が主戦場の芸能人であれば、声優よりも広い層に大々的に商品などをアピールすることができます。ただし、アピールすればするほど、「見るだけで通り過ぎてしまう人」は正比例的に増えていきます。

 声優の場合、アピールできる範囲は相対的に狭いものの、この「見るだけで通り過ぎてしまう人」の比率が、目に見えて少ないのです。コンバージョン率の高さとはそういうことで、私はこれを、声優ファンの「信者力」と呼んでいます。

 本人や関連作品のSNSのフォロワー数は、「信者数」として見られます。ただし、それだけが判断材料になるのではなく、商品の宣伝であればその商品を本当に好きな人が優先されます。斉藤壮馬さんは読書家として、西田望見さんはバイク好きとして、自ら発信して知る人も多かったから起用されたのです。

 プロの声優であることは、今やそれだけでひとつのブランドです。役者としての「あり方」にまつわる考え方はさまざまにあれど、そのブランドをフルに活かす術を考え続ければ、おのずと道が開けることがあるかもしれません。

 お芝居の他にも本気で愛するものを見つけ、ネットをフルに活用し、謙虚ではあっても卑屈になることなく発信し続けること。それこそが、現代の声優に求められるセルフプロデュース術だと考えられないでしょうか。

(おふとん犬)

【画像】自ら発信し「タレント化」していく声優たち(5枚)

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