ファミコン世代が感動した「神移植作品」3選 「よくぞ再現してくれた」「違った魅力も」
アーケードゲームやPCゲームの人気タイトルが、ファミコンに移植されることは珍しくありませんでした。性能面で劣る当時の家庭用ゲーム機に移植された作品は、微妙なクオリティになるものが多かったですが、なかには「神移植」と称賛されるような素晴らしい作品もありました。
ファミコンブームの火付け役になった?
ゲームセンターやパソコンなどで人気だったゲームタイトルが、ファミコンにも多数移植されています。とはいっても、ファミコンの性能でアーケードやPCゲームを完全再現するのは難しく、どうしても微妙な出来になる移植作品が多かったのは否めません。
しかし、そんなハード面の制約があるなかで、ファンから称賛された移植作品も少なからずありました。そこで今回は個人的に「神移植」だと感じた、ファミコンに移植されたゲームソフトを振り返ります。
●ファミコン初期の人気を後押した「革命的シューティングゲーム」
ファミコンが発売された翌年の1984年11月、ナムコからファミコン版『ゼビウス』が発売されました。ゲームセンターで一世を風靡した『ゼビウス』は、現在まで続くシューティングゲームの基礎を作った斬新な作品として知られています。
それまでシューティングゲームといえば、横移動しかできない自機で、敵機を全部撃破するというシンプルなものが大半でした。しかし、ゼビウスでは美しい背景がスクロールし、地表と空中の敵を撃ち分ける要素も盛り込まれます。さらにステージが進むとボスが待ち構えているという構成は、その後のシューティングゲームの定番となりました。
そんなアーケード版がリリースされた翌年、ファミコン版の『ゼビウス』が登場します。当然アーケード版に比べると、グラフィックが簡素化された部分もありましたが、敵の滑らかな動きや、美しい背景のビジュアルなどは、しっかり踏襲されています。
ファミコンキッズの心をくすぐる隠し要素も満載で、『ゼビウス』の自機が無敵になる「隠しコマンド」を掲載した雑誌が完売するほどの影響を与えたのも有名な話です。筆者の周囲では、ファミコン版『ゼビウス』のクオリティに感激してファミコン本体の購入を決めた……という人が何人もいました。
ファミコン版『ゼビウス』を発売した1984年時点では、ナムコはハドソンに続く2社目のサードパーティでした。そのナムコが、アーケードのヒット作『ゼビウス』をファミコンのスペックに落とし込み、127万本も売り上げたことは、その後の参入メーカーにも大きな影響を与えたことでしょう。
●予想以上の出来に、セガっ子も衝撃を受けた?
左右に自在にスクロールする自由度の高さや、自機のパワーアップをショップで行うといった斬新な内容で人気を集めたのが、セガのアーケードゲーム『ファンタジーゾーン』です。ポップでキュートな世界観が特徴的で、自機「オパオパ」の個性的なデザインも目を惹きました。
そんなセガの大ヒットタイトル『ファンタジーゾーン』を、ファミコンに移植したのは「サンソフト」でした。
ファミコン版『ファンタジーゾーン』は1987年7月にリリースされましたが、その約1年前にセガのゲーム機「セガ・マークIII」でも発売されています。セガ・マークIII版では一部のボスが実装されず、別のボスに差し替えられましたが、ファミコン版では全てのボスが再現されました。
また、敵が出る前線基地の動きや、ショップの商品グラフィックの再現度も高く、移植に際してアーケード版に近づけようとした努力がうかがえます。
そして何より気に入っていたのが、ファミコン版のBGMです。本家『ファンタジーゾーン』のBGMが好きな人は多いと思いますが、ファミコンの乏しい音源で再現された曲は、これはこれで味があります。もしファミコン版を未プレイの方は、ぜひBGMにも耳を傾けてほしいところです。
サンソフトといえば『いっき』や『アトランチスの謎』のイメージが強いメーカーですが、筆者のように『ファンタジーゾーン』をプレイして印象がガラッと変わった人もいるかもしれません。